――中国アニメ監督・曲建方氏を訪ねて

　　　　　　　　　　　　　　　　　本誌記者　呂翎

おどけてユーモアたっぷりある知者「アファンティ（阿凡提）」は、ひたすら地主や金持たちに敵対して貧乏人たちの肩を持つ民間伝説の人物で、そのいつもロバに乗る姿は、無数の中国人の児童時代と共に過ごしてきた。もはや1980年、『アファンティ』というアニメ映画シリーズはアメリカのアカデミー映画祭に参加した。そのシリーズ映画の総監督、「アファンティ」姿の設計者、「アファンティの父」と呼ばれる曲建方氏は、最初に中国のアニメ映画を国際市場に推し進めた方であり、また最初に中国でアニメ映画のキャラクターのキャラ商品を開拓した方でもある。第三回杭州国際アニメ映画際（4月28日～5月4日）で中国アニメ映画の発展の歴史を見てきたこの先駆者を訪ねた。

　　　　　　　　　　　　　　　　「アファンティ」の誕生

――「アファンティ」というキャラクターは中国のアニメーションの代表姿の一つだと思いますが、曲さんはどんなきっかけでそのキャラクターをお描きなされたでしょうか。

曲　「アファンティ」というウイグル語の中では「先生」と言う意味で、その本当の名前は「ナサアイルティン・アファンティ」といいます。当時、あるシナリオ・ライターが民間に伝わる「アファンティの物語」に基づいて書いた二つの脚本を持ってきた。それを読んで「アファンティ」という人物の性格は明らかなものだと思いました。その脚本に書かれたアファンティは弱いものの肩を持ち、正義を主張するという姿で、巧みな言葉とユーモアの行為で地主という旦那たちを懲罰する人物です。私はこの脚本にとても興味を持ちますので、アファンティというキャラクターを創作し始めました。

――アファンティはアラビア語界では広く伝われている知恵に富む人物ですと聞きましたが、曲さんはどのように数多くの民間伝説の中からこの芸術姿を創り出したでしょうか。

曲　かつて多くの民間のアファンティ姿の資料を集めました。トルコ、キルギスではアファンティは長い白いひげのある老人の姿でありますが、中国の新疆ウイグル自治区では短いひげのある中年の姿であります。創作するときに、異なる国家と地域での姿をまとめてその性格と外見を芸術的に加工しました。けれども、その人物を絵に製作するとき、どんなに変化しても満足できるウイグル族の知者のアファンティの姿が出てこないことに悩んでいました。それで、再び新疆からの出土文物を考察し、その中にある人俑につく概括的なぐるぐると丸い四肢にインスピレーションされ、アファンティの二つの上肢を上細く下太いユーモアたっぷりの腕にしました。アファンティは知者なので、丸いおでこを描きいれ、さらにおどけたやぎひげや力強く輝く小さい目、それにそり返した鼻を描き加えました。すると、ユーモラスで正義感に富むアファンティの姿が現れましたことになった。

――最初の「アファンティ」は十数年前に創られましたね、現在、曲さんは『老、小アファンティ』をまた創作されましたし、また新しい『アファンティ』シリーズ・アニメを準備中だそうで、この新しいシリーズの中でどのようにこのキャラクターを表しますでしょうか。

曲　今度の新たに撮影するつもりの『アファンティ』シリーズには３D技術で行うつもりです。作品のもともとの味わいを保つ上で、３D技術の応用により、監督の叙述する自由度、展開する空間、それに人形の誇張度を拡大することができると思います。シーンの転換、大場面の製作などいずれもこの新たな技術で実現できると思います。写真：曲建方氏