本誌記者 蘭辛珍
全世界の金融市場が悲鳴を上げているのに対して、中国の銀行業は豊作の季節を迎えている。10月31日に発表された中国の上場銀行14社の第3四半期の業績レポートによると、これらの銀行の1~9月期の純利益は大幅に増えたという。
上場銀行14社の今年1~9月期の純利益は昨年同期比50.62%增の累計3340億8600万元に達し、その増加スピードはその他の業種の上場会社よりはるかに高い。
純利益の伸び率が最も高いのは上海浦東発展銀行(浦発銀行)で、昨年同期比150.92%増え、中信銀行と民生銀行がそれぞれ2、3位となり、純利益の昨年同期と比べた伸び率はそれぞれ137.30%、101.13%となっている。この3社の銀行はいずれも株式制商業銀行である。
上場している3社の国有銀行のうち、建設銀行の1~9月期の純利益は昨年同期比47.58%、中国工商銀行は46.03%、中国銀行は29.42%それぞれ増えた。
金融危機による直接的影響は限定的
アメリカのサブプライムローン危機によって国際金融市場が激動し、各商業銀行の外貨保有資産が注目されている。中信建投証券有限公司のアナリスト、李鋼氏の話では、銀行業の第3四半期の業績レポートからも分かるように金融危機による中国銀行業への直接的影響は限られたもので、損失をもたらしはしたものの、銀行の業績の伸びには影響を与えていない。
三大国有銀行は米金融機構との業務上の往来が最も緊密で、第3四半期業績レポートからも分かるように、現在この三大国有銀行はすでに減損引当金を計上した。これを計上しなければ、この三大国有銀行の1~9月期の純利益の伸び率はもっと高くなっていただろう。
同業績レポートによると、2008年9月30日現在、中国銀行のサブプライムローン危機関連の外貨債券保有額は累計1291億4300万元と、総資産のわずか1.96%で、今のところ中国銀行は保有している外貨債券に対し、減損引当金をすでに243億1500万元計上した。
リーマン・ブラザーズ関連の債券は中国銀行に大きな損失をもたらしたわけではない。9月30日現在、中国銀行が保有しているリーマン・ブラザーズ関連債券の帳簿上の価値は1100万ドルで、当期の損益額に計上した損失額は6500万ドルに達している。リーマン・ブラザーズに放出した貸付金の帳簿上の正味金額は800万ドルで、貸倒引当金の残高は4500万ドルとなっている。
工商銀行の第3四半期業績レポートによると、9月末現在、工商銀行の米サブプライムローン債券などの保有債券投資額は18億6700万ドルとなり、工商銀行の全資産の0.14%を占めている。これとともに、同銀行の米リーマン・ブラザーズ社関連の保有債券の額面価格は1億5200万ドルに達し、総資産の0.01%を占めている。会社債務抵当債券(corporate CDOS)の保有額面価格は5億500万ドルに達し、総資産の0.04%を占めている。
上述の資産について、工商銀行は市場価格による評価結果に基づき、減損引当金を累計13億1400万ドル計上した。
このほか、9月末現在、工商銀行のフレディーマックとファニーメイ関連債券の保有額面価格は合計16億7600万ドルに達し、総資産の0.12%を占めている。工商銀行はこの関連債券に対し引当金7600万億ドルを計上している。
建設銀行の1~9月期業績レポートによると、9月末現在、建設銀行の外貨債券の保有総額は総資産の1.8%を占め、そのうち米国債及びその他の一般外貨債券の保有額が外貨債券総額の88.5%を占め、米サブプライムローン関連債券とリーマン・ブラザーズ持ち株会社の関連債券の保有額は外貨債券総額のそれぞれ1.25%、0.98%を占めている。
レポートは、債券の市場価格の変動は利益に大きな影響を及ぼしてはいない、としている。今年以降、建設銀行は世界の金融危機の動きを注意深く見守り、外貨債券の投資規模を縮小し、時機を選んで一部のリスクの高い機構債、会社債、モーゲージ債の保有額を減らし、信用リスクを効果的に低下させた。
10月24日に発表された建設銀行の公告によると、建設銀行は慎重な方針で、保有している外貨債券に対し減損引当金を計上した。
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