『北京週報』 知的所有権問題は、中米両国の経済・貿易の発展にとって、ずっと障害のひとつとなっており、双方のこの問題における矛盾は昨年下半期から次第にエスカレートしているが、この問題を解決するために、中国側はどのような努力ができるかについてお聞きしたい。
李順徳教授 この20年らい、知的所有権問題はすでに単純な法律問題ではなくなり、単純な知的所有権問題でもなくなっており、これはすでに国際貿易および経済の発展と密接なかかわりのあるものとなっている。WTOメカニズムでは、国際貿易と知的所有権とに結び付いている。これは世界各国に大きな影響を与えており、中米間の知的所有権問題も同様である。知的所有権問題は経済、政治、外交および国際貿易のいずれとも密接なかかわりのあるものである。知的所有権をめぐる紛争は実際に、両国の経済利益と政治・外交問題に及んでいる。われわれは、単に知的所有権問題を論ずることはありえないが、むやみに知的所有権問題とその他の問題とを結び付けるべきでもなく、われわれは条理にかなった範囲内で、理性的に問題を解決すべきである。中米間の貿易関係は極めて密接なかかわりのあるもので、中米両国も相手にとって主要な貿易パートナーの1つとなっており、アメリカ市場の日用品の多くは中国製で、アメリカの航空機、コンピュータ・ソフト、IT製品、文化製品も中国ではいたるところで目につく。知的所有権問題がスムーズに解決できなければ、損害をこうむるのは双方である。
海賊版とニセモノ問題はずっと知的所有権保護が直面する2つの際立った問題であり、世界各国においても同様である。この問題は1つの国だけで解決できるものではない。各国間はつながりのあるもので、海賊版・ニセモノ問題を根本的に解決するには、世界各国が協力し合い、ともに努力しなければならず、ある1つの国だけを非難してはならない。たとえば、いくつかのアメリカで上映されたばかりの、まだ中国で上映されていないアメリカ映画の海賊版光ディスクが中国で売り出されたケースがあるが、その根っこは明らかにアメリカにある。ある人がアメリカでオリジナル版を入手して、別のところで製造し、中国で売り出したのである。このような海賊版について、その責任をすべて中国に押し付けてもいいのか。オリジナル版はアメリカから流出したもので、それでもアメリカに責任がないというのか。したがって、各国がともに努力し、根っこから問題を解決すべきである。
もちろん、中国は発展途上国として、知的所有権制度を構築してから時間もそれほど長くないため、知的所有権保護の面であれこれの問題が存在し、海賊版についてもなお深刻な問題が存在している。中国政府と一般の人たちがかなり大きな努力を払い、かなり大きな代価も払い、著しい成果を収めているが、全般的に見て効果はかならずしも理想的なものではない。これは客観的な評価である。このような状況の下で、中国政府の海賊版対策が不充分でると非難し、中国政府にプレッシャーをかけるのは、とても道理にかなうことではないとしか言いようがない。より重要なのは、中国政府と中国の一般の人々と協力しあって、みんながいっしょにこの問題を解決することである。
『北京週報』 アメリカのWTOへの提訴もアメリカのその他のいくつかの業種の管理者たちの懸念を引き起こしており、そのなかには、アメリカの商業ソフトウェア連盟、アップル、マイクロソフトおよび薬品開発・製造業者協会も含まれている。業界筋は、この2つの業種において、中国市場への参入許可と海賊版取締りですでに進展が見られているため、みずからの足並みが乱されないよう望んでいると語っている。これは、中国の努力がアメリカ社会の一部で認められていることを意味するものであるが、どのようにしてアメリカ社会に中国の知的所有権保護の努力をよりよく理解させるかについてお聞きしたい。
李順徳教授 中国の知的所有権保護の問題をめぐって、アメリカの異なった業種ではかねてから違った見方が存在している。同じ業種の企業の間でも、違った見方が存在していることも客観的な事実である。つまり、多くのアメリカの有識者は、中国は知的所有権保護の面で大きな代価を払っており、実りの多い成果を挙げていることも認めている。色メガネで物事を見て、中国の知的所有権保護は不十分で、ひいては恣意にそれを放任していると非難し、絶えず中国にプレッシャーをかけているアメリカ人も少数はいる。これは、アメリカ内部でもいくつかの異なった見方が存在していることを反映するものであり、われわれはより多くのアメリカ人が中国の知的所有権保護の努力を客観的かつ全面的に評価することを望んでおり、いたらない点については、事実に基づいて問題を提起し、よりよい解決法を提案することが一番よい態度であると言えよう。
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