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人民元の上昇で貿易は

――中国の貿易にとって、人民元の上昇は設備や原料の輸入価格を引き下げるが、同時に中国製品の輸出や国際市場での競争力を弱めてしまう。だが現在、人民元の上昇が徐々に進むなか、貿易黒字は逆に増加し続けている。

譚  偉

2007年1月8日、人民元の対ドルレートの中間値は初めて1:7.8の大台を突破した。今後の一定期間、上昇幅はどれほどになるのか、また上昇によって今年の貿易黒字は減少するのかが、業界関係者の間で幅広い関心を集めている。

実際、05年の為替レート改革から現在に至るまで、改革で一度、上昇を2%以内にしたのを含め、人民元はすでに5.75%上昇した。この上昇幅は17カ月続いている。人民元が徐々に上昇するなか、輸出入や外資の利用、対外経済協力の増大にマイナスの影響が出てくるのではないかと懸念する人が少なくない。

06年の国内総生産(GDP)成長率は10.5%。貿易額は1兆7606億9000万ドルで、増加率は23.8%。貿易黒字は1774億7000万ドルで、74%の増。外資利用は実質ベースで630億2100万ドル。外貨準備高は1兆663億ドル。現在の状況から見れば、中国経済は5%の上昇幅に耐えることができる。

こうした状況のなか、07年も人民元が上昇し続けた場合、貿易にどれほどの影響が及ぶのか。

上昇は唯一の要素ではない

モルガンスタンレー・アジア太平洋地区の前チーフエコノミストである謝忠礼氏は「一般的に言えば、レート改定は輸出入商品やサービス価格に直接ひびくため、輸出入の数量に影響する。だが、一国の輸出入を決定する要素には、貿易関連業界の見通しや市場の需給、金融などの状況、還付税や割当額といった政策調整などがある。従って、レート変動が貿易に与える影響は決して“1対1”の関係ではない」と強調する。

高盛アジア有限責任公司の胡祖六社長は「中国の製造業の賃金は米国や日本のわずか20分の1、韓国の10分の1に過ぎない。こうした状況の下で、人民元レートが2%、3%、または5%から10%、ひいては15%まで上昇しても、何ら障害とはならない。輸出に対する影響はきわめて小さく、だからこそ、中国は労働力コストで明らかに優位性がある」と指摘。

同時に、多くの輸出入企業も「小幅な上昇は輸出入にとって大きな刺激になることはなく、輸入商品価格の上昇による影響を抑えるにもほど遠い。だが、大型プラントの輸出入では大きな挫折を受けるだろう。契約から納入・使用と代金支払いに5年から10年を要するからだ。企業が長期のレート水準を予測するのは難しいため、負うべきレートリスクは非常に大きい」と見ている。

衣料品の輸出を手がける広東省絲麗国際集団の張慶増・董事長(取締役)は「人民元の上昇リスクを避けるため、発注を受ける際には相応の対策を講じている。つまり、できるだけ納期が2~3カ月以内の短期発注を受けるようにし、長期の発注はできるだけ避けるようにしていることだ。ただ、実際に顧客が長期の発注を求める場合には、業務担当者は期間を分けて発注書に署名、つまり時間を分けて製品価格の契約を結んでいる」と説明する。

衣料品業界への影響が最も深刻

「もう支えられなくなってきた」。張董事長は人民元の上昇はまったく“苦水”だと話す。「衣料品業界では現在、利益は非常に薄い。労働者が7、8百人規模の加工工場では、年間利益が約200万元あれば(1元は約15.5円)いいほうだ。人民元が上昇すれば、われわれ労働者の待遇は悪くなる」

張董事長によると、人民元の上昇で苦労しているのは絲麗国際集団1社だけではない。「人民元が5%以上上昇すれば、会社を支えるのは難しくなる。低価格製品を生産している中小の加工企業は言うまでもない。南方の沿海部では、こうした中小企業が地方経済の支柱となっている」と話す。

同時に、国際的にも貿易相手はさらに力を付けている。周辺国の衣料品業界では競争が激しく、米国からの発注書の多くはインドやパキスタンなどの国に大量に移っている。顧客が多くの選択肢を持つ状況のなか、企業は顧客との人民元の上昇問題についての交渉では優位性は余りなく、このため、顧客の大多数は発注を価格のより安い地区に向けている。最も重要なのは、周辺国には割当額の制限がないことだ。

東華大学紡績経済・貿易学部の銭競芳副教授は「絲麗国際集団など衣料品業界は労働力の主用な受け皿となっている。江蘇省や浙江省などの多くの地方で、地元政府から大きな支援を受けている目的は、余剰労働力の就業問題を促すことにある。人民元の上昇がもたらす最大の問題はここにある」と強調する。

06年の衣料品の輸出総額は前年比で15%増え、1200億ドルを突破した。だが銭副教授は「衣料品の輸出量は毎年増えてはいても、同期の利益は相応に増えてはいない。米国に優良で低価格の製品を提供すれば、さらに制裁を受けたり、また国内企業の価格競争も自らを傷つけたりしている」と指摘する。

人民元の上昇は衣料品業界に“陣痛”をもたらしているが、それでも銭副教授は「レートの改革を通じて、企業の輸出秩序を調整し、企業の淘汰を進め、悪性の価格競争という局面を打開できる」と期待を示す。

商務部研究院の梅新育研究員は「人民元の上昇圧力のなか、外資系企業は調整を迫られており、産業が西部地区にシフトされれば沿海部と内陸部に共に利益がもたらされ、上昇による損失を補てんすることが可能だ。広東創信靴業の呉振昌董事長は「上下流の顧客などと現在、広東省の北部や西部といった内陸地方に移転できないか検討しているところだ」と話す。

「北京週報日本語版」2007年2月26日

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