第二に、「双創」(「大衆創業・万衆創新」、大衆による創業と万人によるイノベーション)の時代が、匠の精神を求めている。国の「双創」を支持する一連の政策が打ち出されるに従って、ここ数年、創業とイノベーションのプラットフォームが盛んに発展している。しかし、その中にはよくない兆しも現れている。目前の功利を求めるのに急であったり、努力をせず小手先に頼ってうまく事を運ぼうとしたり、一気に金持ちになりたがったりする心理は、さらなる成長に影響する隠れた危険になっている。実体経済に対する認識が不足し、バーチャル経済ばかりに起業が集中し、概念だけを打ち出して製品を作らない。これは危険な信号である。
活力あふれる中国経済はイノベーションによる駆動を発展のエンジンにする必要があり、さらに匠の精神で実際の製品を作る必要がある。「双創」の背景の下で、創業には職人のような辛抱強さと粘り強さが必要であり、イノベーションには職人のような真剣さと真面目に専心する「匠の精神」が必要である。現在、世界経済は中国の時代に入っており、中国製品の品質向上は中国の時代の重要な課題だ。「匠の精神」の復興は世界レベルの中国製品を作るためのカギである。大国の職人がいてこそ大国の製品を支えることができるのである。(周文復旦大学中国研究院副院長・教授)
「北京週報日本語版」2016年5月12日