人民元の旧1元札に印刷されたトン族の女性が貴州省江県慶雲郷佰你村に住む石奶引さんであることがこのほど、地元関係部門の調査で分かった。
賢い器用な「美しい娘さん」
石さんは3男3女の一番上。子どもが多かったため、早くから働きに出た。小学校にも行っていない。数年前、村で始まった識字普及活動でようやく字を少し習ったほどだ。
少女の時は、やや反り上がった鼻や大きくてきれいな目、緑の黒髪、清楚な姿で人目を引いた美しい娘さんだったという。それに歌や刺しゅう、機織り、ろうけつ染めなども、学ぶとすぐに身につけるほど賢くて器用だった。
自分が紙幣に印刷されるとは
数年前、ある人が1元札を持って石さんを訪ね、印刷された女性によく似ていると話した。当時、彼女は気にかけなかったが、その後、多くの人がそう話すようになったので気に留めるようになり、そして過去のあることを思い出した。
16歳のころだ。石さんは村の人たちとトン族の衣装を着て洛香鎮の市に出かけた。露店が並んで街は非常に賑わっていた。刺しゅう用の糸や針などを売る露店の前で押し合いへし合いしていると突然、見知らぬ男に後ろへと引っ張られた。 すると男性は顔を横に向けるように言い、彼女はその通りにした。男性は絵筆とスケッチブックを取り出して彼女を描き始めた。しばらくすると男性は描くのを止め、スケッチブックと彼女を見比べ、満足した笑みを浮かべた。
家に帰ってもこのことは誰にも告げず、そうするうちに忘れてしまった。「お札の女性が私によく似ていると言われなかったなら、思い出すことはなかったでしょう」と石さん。
彼女は23歳で親の決めた相手と結婚。すでに46歳になった。男の子1人と女の子1人にも恵まれた。夫婦とも勤勉で仲は睦まじい。一家は今、幸せな暮らしを送っている。
「北京週報日本語版」2007年2月14日
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