上海をより美しくするには
上海、この世界最大の都市は人口がすでに2千万を超えた。世界博覧会を迎え、上海政府は都市の化粧に最善を尽くした。この都市は確かに以前より美しく、よりきれいになった。通りに植えられた草花。建物のカラーの瓦屋根。上海は今、世界の幾つかの大都会の中で、最も新しく、最も近代的で、最も美しい都市だと言っていいだろう。
この2千万の人口を抱える大都会に、わずか数年で、“口紅や白粉”を施してこれほど美しくするには、中国共産党指導の政府でなければできない。資本主義の多党制社会なら、この問題に関する議論が休まず続き、数年かけても決定できないだろう。
だが、これらは表面的なイメージ上のことであり、私は、魂を打ち込むことがより重要だと考える。都市のイメージを変えるのは容易でも、精神的な姿を変える、物質文明と精神文明いずれも確立した都市にするのは、むしろ非常に難しい。
上海で最も見ていられないのが、公共交通だ。車と歩行者がひしめいている。自転車に乗る人、オートバイを運転する人の目に信号はなく、勝手に路を横切る。ある警察官は改めるのは難しいと話すが、メディアと警察が協力したり、罰金を倍にしたり、刑務所に入れたりすれば、3カ月後には必ず効果は現れる。シンガポールに学ぶべきだ。
万博を契機に
万博が開幕。世界各国は彼らが最も好み、人々に示すことのできる、誇りを感じるに値する展示品を持ってきた。私たちはそこから多くのものを学ぶことができる。だが、無料の入場券を手にした市民に対しては、事前にきちんとした説明と宣伝をしなかったため、多くの人は万博を現代の縁日、目新しい、わいわい騒ぐものだと見なしている。本当に学びたいと思っている人は、むしろ高くてチケットは買えない。
万博を通じて私は、上海は全中国と同様、文化教育を強化し、資金をより投入して優れた教師をより多く養成し、新たな世代をより多く養成する必要があると感じている。
祖国という考え方も強化しなければならない。一つの国家や一つの都市をより美しくするには、先ずそれを愛することが肝要だ。忠孝・仁愛や信義・平和、礼儀・廉潔などは私たちの座右の銘である。
現在、メディアは国民の文化的資質を向上するよう宣伝している。私は、この万博を利用すれば必ず大々的に進めることができる、と考えている。さらに数十年を経て、上海が世界で最も優れた都市、最も美しい都市になっていることを期待したい。
関愚謙 教授、文学博士、言語学者、作家、翻訳家。広州に生まれた後、上海に。現在、ドイツ・ハンブルグに在住。1972年にハンブルグ大学で言語学の修士学位、77年に文学博士学位を取得。現在もハンブルグ大学で教鞭を取っており、浙江大学の教授も兼任する。欧州華人学会会長。香港「信報」、マレーシア「星洲日報」などのコラムニスト。著作は十数部に上る。
「北京週報日本語版」2010年5月10日
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