しかし、なぜ王さんは「囍」の文字にこだわるのか。「囍」は一体どういう意味を持っているのだろうか。

漢字の「囍」は、「喜」という字から派生したもので、字形の成り立ちと本来の意味を説く中国で最も古い字書である『説文解字』によると、「喜」は五声八音の総称だ。五声とは宮・商・角・徴・羽、八音とは金・石・絲・竹・匏・土・革・木のことで、五声八音は肉声による直接表現と器楽の間接表現を包含し、このグループの総和を「喜」と呼ぶ。

日本から返還された「囍」入りの花瓶

清代の乾隆年間中頃から宮中で「囍」が使われるようになり、嘉慶・道光年間に入ると、「囍」が民衆の間でも受け入れられて、結婚する際に欠かせない要素になったと考証されている。現在でも「囍」の字を貼ったり、「囍」が書かれた飴を食べたりする風習は黄河の中流・下流一帯を中心に綿々と受け継がれている。

では、「囍」を収集する王さんにとって、この字は何を意味するのだろうか。

「囍コレクション」の品々を見せる王さん

「『囍』は「結婚」「子供」を意味し、家族の存続の象徴であり、吉祥と希望の証しでもあります。多くの人はスタジオを訪れるとずっと写真を撮りっぱなしになり、特に壁一面の結婚証明書を見て結婚したくなったと言う人もいれば、結婚について改めて真剣に考える機会になったと話す方もいました」

「『囍』と私は二つの磁石のようなもので、私が『囍』を探している間、『囍』も私を探しているような気がします。人々の一番幸せな瞬間を集めることができて、私はとても幸せです」

「北京週報日本語版」2022年11月23日