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オスカー受賞作もピカチュウの可愛さに勝てないのはなぜ?
  ·   2019-05-16  ·  ソース:人民網
タグ: 映画;ピカチュウ;文化
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しかし可愛さ以外に、この映画には特に語るべきところはなく、子供向けのストーリーには粗さが目立つ。あるネットユーザーは、「この映画は最初から最後まで、ポケモンがメインのストーリーのスパイスになり、背景になっているだけの作品で、全体としてものすごくちゃちだ。始まってから10分でポケモンのゲームについて駆け足で説明するが、その後のストーリーはゲームの設定とは何の関係もない。ライムシティに行くくだりは(ディズニー映画)の『ズートピア』にそっくり。『名探偵ピカチュウ』はフィルム・ノワールのムードをたたえた探偵ストーリーで、ディストピアの陰謀の世界とみんながよく知っている可愛いキャラクターを一つに集めようとしたのだろうが、結果的にどの部分も語るべきものはない」とバッサリ切り捨てている。

▽オスカー受賞作もピカチュウの可愛さには勝てず 

世界で賞を120個以上獲得し、「賞取りマシン」などと言われた「ローマ」だが、中国の映画館に登場すると業界関係者や映画ファンの間だけで人気になり、主流の観客クラスターの間でブームは起きていない。この映画の配給会社は世界的に有名なストリーミングメディアのネットフリックスで、海外では主にネットフリックスのサイトを通じて上映されたため、今回の中国市場進出では全国芸術映画放映連盟の独自の配給網でのみ上映されながら、スクリーンの割り当て数は世界最多になった。

映画評論家の韓浩月さんは、「この作品の最大の見どころはアルフォンソ・キュアロン監督の子ども時代の思い出をほぼ完全に再現したところにある。商業映画のスタイルながら周囲をぼかして表現したいものを際立たせる中国絵画の技法を重視したり、強いストーリー性を追求したりするのではなく、1人の子どもの視点で見たある家庭とその時代の思い出を描いている。このような作品はとても少ないし、優れた監督でなければ撮れるものではない。一連のカギを握るシーンは叙事詩のムードにあふれ、たとえば市内が車で渋滞した時の大きなクラクションの音、終わりの方で子どもたちが海でおぼれそうになるシーンなど、表現の手法は非常に古典的で、出会うことはできるが求めることはできない叙事詩のムードが押し寄せてくる」と評した。

しかし、芸術的に自己を追求し、善や美をつきつめようとすれば、大勢の観客を失うという代価を支払うことになりがちだ。暮らしを散文的に表現する「ローマ」は観客に高いハードルをつきつけ、観客は心を静め、全神経を研ぎ澄ませてこの映画を見なければならない。しかしストレスフルな社会において、多くの人は映画に気晴らしや娯楽を求めている。そのためピカチュウの可愛さがより多くの観客を引きつけることは間違いない。前出の韓さんは、「『トゥモロー・ワールド』や『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を撮ったキュアロン監督は商業映画を楽々と作り上げることのできる人だが、『ローマ』では映画の芸術性を極限まで追求する方法を選んだ。中国の観客がまだ監督のようなレベルに達していないだけで、これから観客を育てていかなければならない。また『グリーンブック』などのオスカー受賞作と比べても、『ローマ』はストーリーが平板で、中国の観客との接点はほとんどなく、こうしたことが人気の出ない一因になったと考えられる。中国の観客はやはりドラマティックで、激しいストーリー展開の映画を好むからだ」としている。(編集KS)

「人民網日本語版」2019年5月15日

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