文=卓南生
中日関係が「暖かくなり」、中国の政府と国民は中日関係に対しあまねく楽観視しているが、さまざまな世論調査によると、日本人の目に映る中国のイメージは改善される徴候がないばかりか、かえってますます悪化している。日本政府の先般のある調査の結果は、更に多くの人を驚かせ、がっかりさせるものであった――「中国に対し親近感をもっている」日本人は31.8%の比率で1978年の最初の調査いらい最低となった。
小泉時代と比べて、東京と北京の関係に確かに大きな改善が見られ、理屈から言えば日本人の目に映る中国のイメージもそれ相応の好転が現れるはずであるが、なぜ『中日平和友好条約』締結30年間いらいの最低点となったのか?この問題に答えるには、小泉時代以後の両国トップの相互訪問の背景も知り、日本のマスコミによる世論の誘導も検討しなければならない。
北京にとって、何よりも重要な課題はいかにして平和で安定した国内国外の環境を作り出すということである。このような考慮から出発して、北京は隣国のトップに対し、靖国神社をめぐる問題で面倒をつくり出さないかぎり、それを両国関係が「暖くなった」第1歩と見なし、中国の主流メディアもそれ相応に拍手を送り、マイナス面の報道は減らすことができれば減らすことになった。これと比較して、日本のマスコミはより多くの紙面を使って双方の政策決定に転換が見られた原因を詳しく述べ、しかも北京のように楽観的で熱意のこもったものではない。
傍観者の目で見れば、安倍氏、福田氏と麻生氏の3世代の首相の対中姿勢の調整は、これら3氏の不安定な政治的地位と切り離すことができない。小泉氏が失脚した後、中日関係が相対的な安定を維持しているのは、決してその後継者が「親中」あるいはその対中態度に本当に戦略的転換が生じたからではない。ほかでもなくこの原因であるかも知れないのは、2年余いらいの日本メディアは中日首脳会談について、よく使った見出しの1つは「日中の(互いに近寄る)ショー」で、なんとなしに読者に次のようなシグナル――「これは外交のショーだ」ということを伝えた。
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