| 林 国本
さいきんは、石油価格の高止まり、あるいはさらなる上昇、食糧価格の急騰、地球温暖化の深刻化などで、いわゆるG8のサミットでもそれが主な議題となっており、人類は発展と前進の途上で、さらなる適応を迫られることになったようである。
筆者は特派員として東京に長期滞在していた頃、中国国内から同僚や上司がよく日本の出版事情を視察しにきて、山手線の車両で日本のサラリーマンたちが居眠りしている姿を目にし、異様な情景と感じ、筆者に日本人はなぜあんなに居眠りが好きなのか、とまじめな顔をしてたずねる人もいた。その当時、中国ではほとんど職住接近型の生活だったので、夫婦が遠く離れた職場で仕事しているケースは別として、ほとんど出勤、退勤の際に居眠りなんかしているヒマもないし、また、当時はまだモータリゼーションなんかは夢のまた夢で、ほとんどが自転車通勤だったので、居眠りなんかしようものなら、交通事故で命を失ないかねなかった。ところが、今は北京市も「都心部」の再開発でかなりの人たちは、日本のサラリーマンと同じ状況の中で暮らすようになった。筆者の知っている若者などは朝5時に起きて、バス、地下鉄を乗り継いで出勤している。したがって、われわれのような古い世代よりはるかにストレスの多い生活をしている。そこに突如として降ってわいたモータリゼーション。ローンを組んで車で出勤する人も増えている昨今であるが、世の中というものはどうもすべてが思い通りにいくものでないらしく、さいきんはガソリン価格の急騰や、住宅ローン、子供の教育等で家計薄と日々にらめっこの家庭も少なくないらしい。メディアの取材に、「土、日の行楽以外はバス、地下鉄の出勤の方が安上がりなので、そうすることにしました」という若者もいるし、すこしゆったりした住居ということから郊外に家を買った人も、こんなことなら少し狭くても都心近くに住居を買った方がよかったかもしれない」という人もいる。
さいわい、中国は今のところ食糧の備蓄も大丈夫なので、他の新興諸国のような社会不安は起こっていないが、はたして永遠に問題が起こらないと言い切れるだろうか。
日本の新聞を毎日見ているが、ハウス栽培の暖房のために重油を使っている農家の人たちが悲鳴をあげているし、エサの価格高騰でタマゴの値段がハネ上がっているらしい。足元の中国でもブタ肉、牛乳の値上げが起こっている。代替エネルギーの開発とかも議論されているが、それが占める比率は限られたもので、結局は省エネ、ライフスタイルの微調整で乗り切る以外にないだろう。海底油田の開発とかいっても、中国の現在のモータリゼーションがさらに進んでいくと、今の2倍のニーズとなる、と見る日本のエコノミストもいる。さいわい、大型タンカーも自前でつくれるようになり、まだ、差し迫った状況にあるわけではないが、輸入に頼る部分も輸出で稼いだ外貨でしのげる状況にあるが、食糧戦略の強化が叫ばれる今日、広大な農地を走りまわるコンバインなど大型農用機械の映像を見るたびに、これはすべてディーゼルオイルをふんだんに使っているものであることをも連想せざるをえない。日本では重油価格の急騰で、遠洋漁業が成り立たなくなる、と懸念する漁業関係者もいる。中国もアフリカあたりまで遠洋漁船を送り込んでいる。地球そのものの資源、とくにエネルギー資源は有限であることは疑う余地はない。
せっかく30年間努力してつかみ取った近代化の成果を守りぬくために、この辺でライフスタイルの微調整を考えてみてはどうか。シンプル・ライフとはいわなくても、少なくとも省エネ型のライフスタイルを考えてみてはと思う昨今である。
「北京週報日本語版」2008年7月14日
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