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両国の経済問題  
なぜ日本が貿易摩擦を挑んだのか

 

                              馮昭奎

2001年4月10日、日本政府が中国側と日本国内の反対を押し切り、4月23日から11月8日までの200日間、中国から輸出したネギ、生しいたけ、畳表の農産品3品目に対するセーフガードの暫定措置を強行的に発動した。その対抗措置として、中国政府は6月22日より、日本の自動車、携帯電話、クーラーに対して100%の特別関税を課す方針を発表した。現在、中日両国が貿易摩擦の解決に向けて対話を進めている。これと同時に、中日両方から日本がなぜ今回の貿易摩擦を挑んだのかについて様々な意見が交わされており、日本国内においてもセーフガードの是非をめぐって論争が展開されている。

補完性を活かした対日輸出の急増

1972年の国交樹立以来、中日両国間の貿易が拡大し続けている。特に1993年から1995年までの間に、両国の貿易額は年平均百億ドルの増加を実現し、1996年には600億ドルに達していた。1998年に日本の景気後退やアジア金融危機などの影響を受け、中日貿易額は初めてマイナス成長を記録したが、1999年に600億ドルに回復し、そして2000年に857億ドル(日本側の統計)に達している。現在、対日貿易が中国対外貿易総額の18%を占め、日本が中国の最大の貿易相手国となっている。これに対して、日本にとって、中国はアメリカの次に位置する第二の貿易相手国である。中日貿易の拡大は両国の経済の補完性を反映しているものであるが、日本では景気の低迷が長引く中で、中国からの輸入の急増は、貿易摩擦の引き金となってしまった。

中国の対日輸出は量的に急拡大しているだけではなく、品目の多様化と品質の改善も見られる。日本の消費者の中国商品に対する「違和感」(例えば輸入品の品質に不安を感じるため、購入するのをためらう)は大きく解消された。中国からの輸入商品の品質の上昇には、中国側の生産者の努力に加え、多くの多国籍企業による中国への生産拠点や生産技術の移転が果たした役割が大きい。特に日本企業が盛んに行っている「開発輸入」戦略(中国の生産者たちに日本の消費者のニーズに合うような商品を日本向けに輸出できるように、中国に技術指導や生産設備を提供すること)が中国の農産物やその他の商品の品質向上に大きく貢献している。

中国産の廉価商品の大量輸入が、日本国内において、消費者と生産者たちに様々な反応を引き起こしている。例えば、日本経団連の副会長である鈴木忠雄がこのような発言を漏らした。「日本の近くに日本より十数倍も大きい国があり、そこの労働者たちの賃金は日本人の給料の何十分の一しかない。そこから生産された廉価な商品の日本への大量輸入が、デフレをもたらした重要な原因である。物価の下落は消費者たちに歓迎されるが、生産側の企業にとって、大きな懸念材料である」。

生産者重視か、それとも消費者重視か

第二次世界大戦後、日本政府の経済政策には生産者を重視し、消費者を軽視する傾向が見られる。これに対して、日本国内の世論や多くの専門家が早い段階から、「生産者重視型」から「消費者重視型」へ政策転換すべきだと主張してきた。しかし、今度のセーフガードの発動は日本政府の一貫して「生産者重視型」方針を転換しようとしない姿勢を改めて物語っている。

中国から安くかつ良質な農産物及びその他の産品を輸入することは、多くの日本消費者にとって、明らかにメリットが大きい。近年日本経済が不況に陥り、人々の収入が伸び悩んでいる中、物価の低下だけを頼りにして、人々の生活水準が維持されてきた。その上、長期にわたって存在していた「内外価格差」も解消に向かっている。

しかし、中国からの廉価な農産物の輸入が日本の農産品の生産者たちに大きな打撃を与えている。日本の農業部門において、高齢化や労働力の激減が進む中で、生産コストが高まり、価格競争力が低下しているため、廉価の農産物の大量輸入は多くの農家の経営悪化と生活面の不安をもたらしている。その結果、農家や彼らを代表する業界団体と政治家が日本政府に対して、関税措置による緊急輸入制限を強く求めるようになったのである。

一方、日本の商社が盛んに「開発輸入」を通じて、中国の農家からの日本に対する逆輸入品の生産を委託している。こうしたことによって、日本は中国の安い生産要素(労働力、土地)を有効に利用できるだけではなく、さらに流通ルートの短縮化、効率化などの利点を活かすことができる。これに対して、日本国内の農業は、流通システムが低効率で複雑であるといった問題を抱えており、輸入農産物との競争では明らかに劣位に立たされている。

「開発輸入」における最も典型的な例が衣料品業界である。近年、安く、しかも高品質なブランド「ユニクロ」がヒット商品となり、多くの日本の消費者に歓迎されている。「ユニクロ」の商品の殆どは中国企業に生産を委託したものである。現地の縫製技術の向上により、中国で生産された衣料品の品質はすでに日本メーカーの商品と同じレベルに達するようになったのである。

従って、今度の貿易摩擦は両国間の対立だけではなく、むしろ日本国内の異なる企業の対立(例えば、政府に輸入に対する制限を求めるタオル業界の中で、一貫して日本国内での生産を維持しているメーカーと中国に生産移転が進んでいるメーカーの間)でもある。すなわち、「開発輸入」に取り組む業者にとって、価格を下げても採算がとれるようになったため、ほかの業者も生き残るためにコスト削減に一層努めなければならなくなったのである。

農業及びその他の業界からの圧力を受け、根強い「生産者重視型」という伝統を受け継いだ政策当局は結局、生産者を守るために、消費者の利益を犠牲にする選択肢を選んだ。なぜなら、保護主義の利益が少数の生産者に集中するのに対して、そのコストが消費者たちに広く分散しているからである。また、輸入の増大に伴うデフレ効果が、低迷している国内生産に対してさらにマイナスの影響を及ぼすことを当局が懸念している。

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