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米国債上限をめぐる争い 昔と今
数カ月続いた米国債の上限をめぐる争いは世界金融市場の行方に影響を及ぼし、その衝撃はさらに実体経済へと広がり、世界の政治・経済力の対比構造にすら波及する恐れがある。4日と5日に上海や深圳、ニューヨーク、ロンドン、香港、東京など世界ほとんどすべての主要市場を巻き込んだ株価下落は依然、この争いの影響の深さを十分に物語っている。
観点
格付け機関にあるべき理想とは
現行の国際格付けシステムは主にムーディーズとS&P、フィッチ・レーティング、この米国をバックにする3つの格付け機関が主導している。彼らの格付けに対する発言権は絶対的な独占状態に置かれており、世界の金融市場はいずれも彼らが提供する格付け情報を使用している。このシステムの弊害は08年の世界金融危機後、かなり明らかになってきた。 先ず、最も主要な問題は、主権国家の格付け機関が全世界の責任を担っていながら、国際社会によって有効に監督管理されていないということである。 次に、現有の競争体制とメカニズムにより、彼らは企業自身の利益のために、ランクを譲渡したり、あるいは原則を放棄したりしていることである。格付け機関は自身の生存のために、格付けをしているが、発行人は格付けの入札を行う場合、示されたランクが高いほうを求める。従って、発行する機関は3社の機関に格付けをさせるという状況が生じる。こうした状況では、格付けが正確にリスクを示すのは無理であり、反対にリスクが蓄積される。
· 米国債の格付け引き下げ 深刻な結果もたらす
5日の晩、米国の三大格付け会社の一つであるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、米国債の格付けを最上位の「AAA(トリプルA)」から「AA+(ダブルAプラス)」に一段階引き下げるとともに、今後の格付けの見通しを「ネガティブ(弱含み)」にすると発表した。
· 米国のツケが、なぜ中国に?
3年前の世界的な金融危機は、米国のリーマン・ショックを発端とするものであったが、最も痛手を被ったのは中国市場であった。米国の株式市場は30%ほどの下落に過ぎなかったが、中国のA株市場は70%下落した。この歴史が、このほど再演されようとしている。
· 中国外相、米債務問題の適切な処理を求める
中国の楊潔チ外交部長(外相)は5日、「米国と欧州の債務問題によって高まっているリスクに対処するため、世界各国は協調を強化しなければならない。世界的な株価下落は世界経済への懸念を引き起こしている」と述べた。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
· 大公国際「米国の債務返済能力低下は避けられない」
米国債の危機は回避されたが、その債務返済能力には依然として疑いの声が上がっている。中国の格付け機関、大公国際資信評価有限公司は3日、米国の自国通貨建て、外貨建て格付けをAプラスからAに引き下げ、見通しを「ネガティブ」としたと発表した。「人民日報」海外版が伝えた。
背景
米国債務危機をめぐる動き

1月6日 米国財務省が議会に対し、米国債務規模が間もなく法定上限に達する見通しであり、早急に上限額を引き上げなければ米国政府は債務不履行となる旨を書面で述べた。

4月13日 オバマ大統領が、バイデン副大統領をトップとする専門委員会を設立し、赤字削減と債務上限額引き上げについて話し合うことを提案。しかし共和・民主両党は増税の可否や短期的解決方法を受け入れるかなどの問題を巡って激しい論争を展開し、共通認識に至らなかった。

5月16日 米国債務が法定上限額の14兆2900万ドルに達する。この月から財務省は、政府債務が最終期限の8月2日になる前に「デフォルト(債務不履行)」となる事態を回避するべく、臨時措置的管理財政を取り始めた。

6月27日 オバマ大統領が上院の指導者と債務上限額引き上げについて会談した。

7月25日 共和・民主両党がそれぞれ債務上限額引上案を提出。共和党案は二回に分けての段階的債務上限額引き上げを主張、一方の民主党は一気に引き上げることを主張した。

7月29日 米国下院で共和党案が僅差で採決されたが、上院で否決された。

7月30日 共和党が支配する下院で民主党案が否決された。

7月31日 両党がようやく債務上限額引き上げで共通認識に達する。協議の結果、米国債務上限額は少なくとも2兆1000万ドルに引き上げられ、政府は今後10年以内に2兆ドル以上の赤字削減を行うことが決まった。

8月1日 下院が米国債務上限額引き上げと赤字削減法案を採決した。

8月2日 上院でも同法案が採決され、オバマ大統領がこれに署名した。

8月6日 世界三大格付機関の1つであるスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国の主権信用格付をAAAからAA+に引き下げたと発表した。

 

 
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