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本誌記者 繆暁陽

「現在、中国にはまだ貧困人口が存在しているのが現実なのに、動物福祉を重視するのは早すぎるのではないか?」 2009 年 9 月 18 日、『中華人民共和国動物保護法 ( 専門家提案稿 ) 』が発表され、社会で大きな論議を呼んだ。 12 月 1 日、「中国動物福利基金会」が主催した『中国動物福祉法』の模擬コンテストとオフィシャルサイトがスタートし、ネットユーザーの高い関心を引いている。中国における動物福祉法の立法はまだ遠いのか?先ごろ、本誌記者が国際動物愛護基金の華寧プロジェクト主任、中国農業大学動物医学院の趙継勲教授に取材した。

意識から規範化し
立法は一刻も猶予できない

「ここ数年、国内では動物虐待事件が何度も発生したが、結局道徳的に非難する程度のことしかできなかった。中国は直ちに動物福祉法を実施し、意識から人々の動物に対する態度を規範化しないと、動物を傷つける行為を最大限に抑制することができない」と華寧氏は述べた。

「動物福祉が強調しているのは人間が動物を利用できないことではなく、どのように合理的かつ人道的に動物を利用するのか、人間のために犠牲になる動物が最も基本的な権利を有することをできるだけ保証しなければならないことだ。」

1822年にイギリスが真っ先に世界初の動物福祉法である『マーチン法』を実施してから 187 年間にわたって、 100 余りの国と地域が、当国あるいは当地域の実際的な発展状況に合う動物福祉法を実施してきた。中国大陸はこの面でずっと停滞しており、現在に至るまで、まだシステムの完備した動物福祉法が出来ていない。

これに対して、華寧氏は、「国際標準に基づくと、動物は農場動物、実験用動物、伴侶動物、荷役動物、娯楽用動物と野生動物からなっている。各種動物が平等な地位をもち、同等に保護されるべきだが、現在、中国には総合的な動物保護基本法がないため、保護される動物の範囲が狭すぎ、『野生動物保護法』、『動物検疫法』、『牧畜法』、『生豚屠殺条例』、『実験動物管理条例』などの専門的な動物保護や管理の法律・法規しかなく、そのほかの動物の保護は長い間拠り所となる法律が何もない状態にある」と指摘した。

動物虐待によって誘発された社会問題について、華寧氏は、「動物虐待で生じた『反面教育』は世界観を形成しつつある次世代に悪影響を与えるだろう。動物福祉状況の悪下はますます中国の社会・経済成長の障害にもなっており、食品安全がおびやかされ、国民の身心の健康も影響を受けている。それ以外に、動物保護法規の不十分さは中国の国際社会におけるイメージ、名声に潜在的に影響を与えており、すでに新たな貿易障壁にもなっている」と述べた。

「以上の問題がますます深刻になっており、動物を愛護、保護するために立法し、人々の動物に対する行為を規範化し、中国の動物福祉法の空白を埋めることはどうしてもやらなければならない」と華寧氏は強調した。

経済レベルに着目すると
立法にはまだ時間が必要

「国情からみれば、中国における動物福祉法の立法はまだ時間を必要とし、短期間に本当の意味で確立することはできず、経済成長の基礎を踏まえて徐々に立法していくべきだと思う」と趙継勲氏は述べた。

また、趙継勲氏は、「動物虐待行為の根本原因は社会保障システム、経済成長レベル、人々の思想認識と大きな関係がある。思想認識の問題は解決しやすいが、社会保障、経済成長の問題は解決しにくい。社会・経済成長がかなりのレベルに到達した後、立法もようやく一定のレベルに達することができる」との考えを示した。

「今、中国で動物福祉法を実施すれば、一部業界の従事者が失業に直面するばかりでなく、規範に合う屠畜場を建設し、自由市場を改善すれば、メーカーのコストも増加し、消費者物価も上昇するだろう。しかし、中国ではまだ数千万の貧困人口が存在しているため、経済成長、国民生活保障のほうが当面の急務だ。」

「私はかつて何人かの動物保護に従事するヨーロッパの専門家に以下の問題を聞いたことがある。『ヨーロッパでは農場動物の福祉を提唱し、ニワトリを放し飼いにするように求められている。放し飼いはコストが高く、卵の価格も高くなるが、今回の世界経済危機の下で、放し飼いにしたニワトリの卵を買うヨーロッパ人は多くなったのか、それとも少なくなったのか』と聞くと、相手は返事ができなかった。すべての現象の裏に経済問題がある。経済問題が先に解決されなければ、動物福祉法をどのように確立するというのか。たとえ確立しても実施するのは難しいだろう」趙継勲は語った。

「人類社会が現在のように発展し、人類と動物が共同で進化する間に、人類はすでに食物連鎖の最高点に立ち、動物にとってより良い生存空間を与えられるだけの能力と道徳を持っている。人類社会にはまだ戦争、飢餓などの多くの問題があるが、動物保護の問題はすでに圧倒的多数の人に認識されているため、中国における動物福祉法の立法はスタートを切れる時が来ている。動物自身の生存状況および人類と動物がどのように調和して共存していくのかを広範にアピールし、人々が動物福祉法の必要性と切実性を理解するようにしなければならない」と趙継勲氏は呼びかけた。

 

 

関連情報

『中国動物福祉法』の模擬コンテストとオフィシャルサイト「動物福祉保護実例募集」の活動( 詳しい情況 : http://gongyi.sohu.com/s2009/dongwufuli/

「北京週報日本語版」 2009 年 12 月 25 日
 
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