本誌評論員　蘭辛珍 

 米連邦公開市場委員会（ＦＯＭＣ）はこのほど、量的緩和第３弾（ＱＥ３）終了を宣言した。これは、世界金融危機以来低迷が続いている中国の輸出にとって好材料であると同時に、より多くの中国製品を選べるようになる米国の消費者にとっても朗報だ。

 米ＱＥ３の完全終了には、少なくとも二つのメリットがある。第一に、米国経済が力強い回復の兆しを呈している。ＦＯＭＣ声明も米国の経済情勢について同様の判断を示している。ＦＯＭＣ声明によると、９月の政策決定会合以来伝わってくる情報を見ると、経済活動が適度に拡張しつつあり、雇用市場の状況はある程度改善され、雇用者数は安定して増え、失業率は低下し、家計消費は適度に増えており、企業の固定投資も増え、インフレ率はずっとＦＯＭＣの長期目標を下回っている。ＦＯＭＣ声明から、米国経済は２０１３年以来の上昇傾向を保っており、しかも家計購買力も次第に高まっていることが分かる。

 第二に、人民元が値下がりする。ドルが高くなれば、新興国市場の通貨は下落する。これはドル主導の国際通貨の客観的法則だ。ドル高の状況下でもある国の通貨が下落しない場合、その国には堅固な経済の後ろ盾がなければならない。そうでなければ、その国の経済は打撃を受ける。中国について見てみると、現在経済成長が力を欠いているため、米国のＱＥ３終了でより多くの資金が米国に還流し、人民元への値下げ圧力をもたらすことになる。最近、米国の高官がまた人民元相場が過小評価されていると騒ぎ始めたが、すでにかなり市場化されている人民元の相場がそのまま変動しないことはあり得ない。今、注目されるべきは、人民元の下落幅がどれほどになるかである。