アジア太平洋経済協力（ＡＰＥＣ）第２２回非公式首脳会議が１１月に北京で開催される。そのため、北京市は１０の重点区域や空港高速道路など８本の路線、２８０カ所の美観の悪い場所を対象に環境整備を行い、市内全域の２４６の主要道路沿いで建物外壁の清掃・塗装を行っている。このやり方が正しいかどうかについて、意見はまちまちだ。

　このやり方について完全否定する人もいれば、正反対の賛成する態度を取っている人もいる。だが実際には、このやり方に対して一つ一つしっかりと具体的に分析するべきである。

　まず、北京市がＡＰＥＣ開催前に「大掃除式」の環境整備を行う動機は、中国の都市整備では非常に典型的なもので、理解できる。中国文化にはこうした伝統があり、「メンツ重視」の要素はあるが、それにプラスの効果もあることは否定できない。

　一部地方の「面子工程（メンツプロジェクト）」が社会的に強く印象づけられているため、メンツが絡むすべての政府行為に嫌悪感を抱く人もおり、世論も北京市の「開催前の大掃除」に警戒心を持っている。それも無理のないことだと言えるだろう。政府はこれらの疑問に対し責任を負うべきである。

　今回の北京市環境整備が正しいかどうかを評価するには、整備の効果がＡＰＥＣ閉幕後にも都市にとって有益かを見ることが肝心だ。もしほとんどが都市にとって有益であれば、全体的に言ってプラスであり、全面否定するべきではない。

　主要道路沿いの建物外壁の清掃や塗装など、ほとんどの環境整備は北京市民にとって有益だと言っていいだろう。美観の悪い場所の一掃、建物外観の美化については、言うまでない。これらはいずれも北京市民が期待する環境の改善である。

　中国の大都市がこのような大規模な市内景観整備を行う上で、国の大型政治活動が後押しの作用をする場合が多い。もちろん、整備が普段から行われていれば、大型イベントの前に集中して行う必要はない。それはわれわれの都市の管理が高いレベルに達していることを意味する。しかし現実には、北京はまだそこまでできておらず、このような状況下では、ある程度の突貫作業が必要になる。実際、世界の多くの都市でも重要なイベントを行う場合、集中整備を行っており、程度の差があるに過ぎない。