安全性めぐり論争
「食用遺伝子組み換え製品は癌を誘発する」。これは中国の消費者の間で伝わっている最も恐ろしい情報だろう。そして人々が遺伝子組み換え製品に抵抗を感じる主な原因でもある。インターネットで「遺伝子組み換え」と入力すると、ヒットするのは大半が安全性に疑問を呈するものだ。遺伝子組み換え製品市場は拡大し続けているが、遺伝子組み換え製品の安全性については中国市場でずっと論争が続いている。
インターネットでは、多くの人が「果物は遺伝子の変化によって大きくもなり小さくもなる。ひいては畸形も生じる。人が遺伝子組み換え製品を食用した場合もこのような事が起こるのではないか?」との懸念を示している。こうした疑念に対し、科学的な説明をしている機関は1つもない。
しかし農業部農業遺伝子組み換え生物安全管理弁公室は、遺伝子組み換えの安全性に対する心配は余計だとし、次のように強調している。「中国の遺伝子組み換え製品は3つの原則を遵守している。1つ目は追跡可能性(トレーサビリティ)。すべての遺伝子組み換え製品はその生産元まで追跡できることが求められている。2つ目が表示可能性。すべての遺伝子組み換え製品は市場に流通するにあたって法の要求に従い表示を行わなければならない。3つ目が制限可能性。すべての公民の遺伝子組み換え製品に対する知る権利と選ぶ権利を保証するため、必要に応じて特定地域内に制限できるようになっている」。
農業部農業遺伝子組み換え生物安全管理弁公室はさらに、「中国は、遺伝子組み換え生物の環境安全性と食用安全性に対する評価・検査モニタリング技術プラットフォームを構築し、30余りの新検査技術を開発、さらに検査試薬キットと専用検査装置を開発し、80余りの遺伝子組み換え安全技術基準を打ち出し、生物安全保障力を大幅に高めた」としている。
さらに農業部は複数の関連専門家を集め、遺伝子組み換えの広報普及活動を行っている。農業部の資料は、「新興の遺伝子組み換え技術を悪者扱いしたり盲目的に排除したりすることは、国の科学技術の進歩と食糧問題の解決にとってマイナスになる」としている。
農業部は、4種類の遺伝子組み換え作物(綿花、大豆、トウモロコシ、アブラナ)の輸入安全保証書を相次いで承認した。しかし、遺伝子組み換え作物の栽培については、遺伝子組み換え綿花が許可されているのを除き、中国域内での遺伝子組み換え大豆、遺伝子組み換えトウモロコシ、遺伝子組み換えアブラナの栽培は許可されていない。輸入は許可しても栽培は許可していないため、消費者は農業部が本当は遺伝子組み換えが安全だと思っていないのではないかと感じている。
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