国際基準より厳しい中国の米カドミウム限度量

国連食糧農業機関／世界保健機関合同食品添加物専門家会議は２０１０年、カドミウムのＰＴＷＩ（暫定耐容週間摂取量）をＰＴＭＩ（暫定耐容月間摂取量）に変更し、基準値を下げた。

中国人の食事によるカドミウム摂取は主に米によるもので、米のカドミウム含有量を抑制すれば中国人の食事によるカドミウム汚染のほぼ２分の１を抑制できる。２００５年に発表された汚染物質限度量基準の米中のカドミウム限度量は、コーデックス委員会や一部の国の規定より厳しいものだった。これまでの研究結果に基づき、新基準でも前基準で定められた限度量をそのまま引き継いだ。

このほか、コーデックス委員会基準を参照し、中国の主要消費食品及びカドミウム汚染の特徴を結びつけて、穀物及びその製品、野菜及びその製品、生鮮果物、食用菌類及びその製品、豆類、落花生、肉及び肉製品、水産動物及びその製品、卵及び卵製品、調味料、飲用水など関連食品についてカドミウム限度量基準を設定した。

国家食品安全リスク評価センター首席専門家の呉永寧氏は、「中国が汚染物質基準制定時に採用した汚染物質総耐容量は国際的データだが、中国人の食事は国外とは異なり、中国人が食物から摂取する汚染物質の量も国外とは違う。したがって、汚染物質の限度量基準は国際基準と完全に同じにはならない」と指摘する。

例えば、米中のカドミウム限度量は、国際基準では１０００ｇ当たり０．４ｍｇなのに対し、中国の基準は１０００ｇ当たり０．２ｍｇだ。中国の米カドミウム限度量については論争が２年続いており、各方面から多くの異なる意見が出されたが、最終的には国際基準より厳しい１０００ｇ当たり０．２ｍｇとした。これは中国人の食事における米中のカドミウムのリスク評価結果に基づいて設定したものだ。分かりやすく言えば、中国人が食べる米は外国人よりも多いからである。

コーデックス委員会、米国、日本、オーストラリア、ニュージーランド及び中国台湾地域では、食品中のクロム限度量を規定していない。ＥＵでも、ゼラチンとコラーゲン中のクロム限度量を規定するにとどまっている。香港では、穀類、野菜、魚、カニ、カキ、大型エビ、小型エビ、家畜肉類・家禽肉類中のクロム限度量を規定している。