本誌記者 呉彦飛
刑法修正案(第8稿)が5月から発効した。修正案は、酒に酔って車を運転した者は、交通事故を起こしたか否かにかかわらず免許停止となり、5年間再取得の申請をすることができないと規定している。さらに重要なのは、新法律では飲酒運転は犯罪となり最高で6カ月の拘留に処することができると規定されていることだ。しかし修正案が発表されて間もなく、最高人民法院(最高裁)のある副院長が「刑法修正案(第8稿)の規定を文面からだけ理解して、飲酒基準に達して自動車を運転した場合は一律刑事犯罪になると考えるべきではない」という主旨の発言をした。この発言が伝わると、たちまち「飲酒運転は必ずしも処罰されるとは限らない」と解釈され、社会各界の激しい論議を呼んだ。
弁護士:飲酒運転は「挙動犯」
内蒙古自治区で運転手をしている李俊傑は飲酒運転で5月1日に北京交通警察に逮捕された。李はこれにより「飲酒運転への刑事罰適用」後、飲酒運転による北京で最初の逮捕者となった。李俊傑は大きな交通事故を起こしていなかったが、法院は危険運転罪で拘留2カ月、罰金1000元に処した。
北京市民の彭さんは、「ここ数年、飲酒運転による惨劇があれだけ起きているんだから、自分が飲酒運転ドライバーに遭わないと誰が言い切れますか?飲酒運転を厳しく処罰することは、公共安全を守り、一人一人を守ることなんです」と言う。
多くの市民は、刑法修正案(第8稿)は飲酒運転に対し触れることのできない高圧線を引いたようなもので、飲酒運転者を震え上がらせる役割を果たすと考えていた。しかし「『慎重な刑事罰適用』の観点が打ち出されてから、自由裁量の幅が広がってしまった。これではドライバーが酒を飲んで運転しても大丈夫かもしれないと思ってしまいやすい」。権力者や金持ちの飲酒運転者には「お目こぼし」するのでは?「状況が軽微」とは?市民は「飲酒運転への刑罰適用」がうやむやになってしまうことを心配している。
北京市天元弁護士事務所の余明旭弁護士が記者に語ったところでは、中国の刑法が規定する罪には「挙動犯」と「結果犯」の区分が存在するという。いわゆる「挙動犯」は、法で定められた行為が発生すれば事情を考慮することなく一律罪になる。実際の量刑時には、社会への危害程度に応じてどの程度の処罰を行うか、あるいは処罰を行わないかを決定することができる。刑法修正案(第8稿)第22条の記述によると「飲酒運転」は明らかな「挙動犯」であり、事情を考慮するべきではない。
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