『北京週報』 中国の知的所有権保護の道のりはまだ長いことは否めないが、あなたは今後の中国の知的所有権保護の仕事についてどのように見ているのか。
李順徳教授 前世紀70年代の終わりごろ、中国は改革開放を始め、市場経済を実施すると同時に、知的所有権関連の制度整備にも取り組み始めた。1982年に『商標法』を公布し、1984年には『特許法』、1990年には『著作権法』を公布し、中国の人たちは10数年間で先進諸国が100年間も費やした知的所有権発展プロセスを完了させた。WTO加盟後、中国の知的所有権制度関連の立法の面において、すでに国際規範の要求に応えられるものとなっている。現実的に言うと、中国の知的所有権制度は必ずしもすでに極めて完ぺきなものであるとは言えない。立法の面で、中国は引き続き関連の法律、たとえば、『特許法』、『商標法』などを改正するための準備をしており、その他の関連法律・制度についても検討、策定あるいは改正・充実化の作業を進めている。
法律執行の面においても、中国では大きな進展が見られている。特許出願件数、授権件数、商標登録件数などの指標はいずれも世界でトップクラスに入っており、行政機関の権利侵害案件や知的所有権関連の民事面の係争に対する調査・処理、司法機関の知的所有権案件の審理件数もかなり多い。2006年には、中国はまた7項目の特別計画を実施し、知的所有権侵害行為への集中的取締りを行った。先進諸国の知的所有権制度は構築されてすでに長い期間が立ち、かなり完備した制度が出来上がっており、主に司法機関、警察および税関を通じて知的所有権を保護しているが、中国はこれらの機関のほかに、さまざまな行政管理部門も知的所有権関連の法律執行に直接参加しており、たとえば、知的所有権局、著作権局、工商局、文化部門など、国クラスだけでなく、省・市・県クラスのいずれにもこれらの機関が設置されており、直接知的所有権関連の法律執行に参加している関係者は100万人にも達している。特別計画実施の範囲はなおさら広く、社会全体の力が動員されている。中国の知的所有権保護への人的・物的投入は世界のいずれの国も比較することができないものである。
それでも、中国は知的所有権保護において、依然としてさまざまな問題が存在していることを認識している。中国の発展プロセスにおいて数多くの問題が存在しており、知的所有権問題もそれに含まれている。われわれは中国の知的所有権保護の道のりは困難に満ちたものであるが、前途は明るいと信じている。
『北京週報』 国家知的所有権局の田力普局長は、中国の知的所有権保護は外国のプレッシャーに対処するためではなく、自らの発展の内的必要であるとしているが、あなたはこれをどう理解しているか。
李順徳教授 中国の知的所有権制度の構築は、言うまでもなく中国自らの発展の必要である。もし中国が改革開放を行わず、市場経済を実施しなかったならば、知的所有権制度を構築する必要もなかったはずである。現在、中国が引き続き知的所有権保護を強化しているのは、まず中国の市場経済をよりよく発展させ、よりよい投資および経済発展の環境を作り出すためである。私はこの見解に全く同感である。このような見解は田局長一人の見解だけでなく、中国政府および中国の知的所有権学界と法曹界の共通の認識である。中国は加入している関連知的所有権国際公約の要求を考慮し、自らの国際義務を果たすことになろう。中国がこれ以上、先進諸国の高いレベルに達するよう要求するのは、非現実的なことである。中国は自らの状況を踏まえて、知的所有権保護のレベルを決めるべきである。
「北京週報日本語版」 2007年5月16日 |