Imprimer cet article

Commenter cet article

トップ記事一覧  
バイオエネルギーと穀物の安全

また、「通知」でバイオエネルギー戦略の実施のテンポは遅くなる、と懸念する声もある。「むしろ反対で、積極的に推進される」。中糧グループのバイオエネルギー事業部の岳国君部長はこう反論する。グループのバイオエネルギー戦略では現在、トウモロコシが主体だが、長期的に見れば決して最重要な原料ではない。「われわれは国の関係計画に基づいて一部の穀物を消化しているにすぎない。部・委員会が制限するトウモロコシのメタノール加工プロジェクトとは本質的に異なるものだ」と強調する。

非穀物原料の開発

実際には、緊急コール前に、すでに理想的な代替原料の模索が多くのバイオエネルギー企業の戦略的な焦点となっていた。中国はバイオ資源が豊富であり、開発の潜在能力も極めて大きい。穀物以外にも穀物の茎、農業や林業の加工廃棄物、動物の糞、工業有機廃水や固形廃棄物、都市生活のゴミなど、いずれも抽出・加工すれば多種の電力、気体や個体、液体燃料などの末端エネルギーに転換が可能だ。

05年、中国再生可能エネルギー学会の王孟傑副理事長は、「甘コウリャン優良品種の育成と茎からメタノールを抽出する技術」で国連工業開発機関(UNIDO)から「世界再生可能エネルギー分野で最も投資価値を持つ10大先端技術賞」を授与された。甘コウリャンは干ばつや洪水、アルカリに強い植物で、耕地を占有せず、アルカリ土壌でも栽培が可能。その茎を原料にメタノールを製造すれば、コストは穀物生産に用いるより低い。この技術の推進事業はすでに「再生可能エネルギーの中長期発展計画」に盛り込まれている。

収穫の季節ともなれば、農作物の茎は大量に出る。ある地方では、燃料につかったり、あるいは役に立たない、保存が難しいことなどから農地で燃やしたりしているが、これではエネルギーの浪費になるばかりか、深刻な環境汚染をももたらす。茎はクリーンな再生可能資源であり、硫黄の平均含有量はわずか3.8%で、資源の浪費や環境汚染などを有効に防ぐことができるのは明らかだ。現在、この経済性の極めて高い原料を利用して発電を始めている地区もある。

中国南方に幅広く生息するナンヨウアブラギリ(Jatropha curcas)もバイオ重油の開発潜在力を備えた一種だ。穀物の栽培に適さない痩せた土壌でも生長し、しかも水や肥料はほとんどいらず、さらに殺虫剤を使う必要もない(それ自身が害虫を駆除し、鳥類や哺乳動物、昆虫も食べない)。国家林業局は総合計画で四川と雲南、貴州省をナンヨウアブラギリの重点発展地区に指定。昨年、中英米3カ国のエネルギー企業最大手は、今後10年間に約200億元を投資し、四川省攀花市と凉山イ族自治州などでナンヨウアブラギリ栽培プロジェクトを実施すると共に、10万トンクラス以上のバイオ重油精練工場を数カ所建設する計画を発表した。

先ごろ開かれたバイオエネルギー発展フォーラムで、国家林業局の祝列克副局長は「エネルギー林を原料として生産されるエネルギー量は10年までに、バイオエネルギー発展目標の30%以上を占めるだろう。林業の廃棄物についても、バイオエネルギー量を目標の50%以上にすることを目指す」と強調した。

中国には森林に適した荒れ山や荒れ地がまだ5400万ヘクタールほどある。およそその15%を利用してエネルギー林を拡大させることが可能だ。このほかにも、アルカリ土壌や砂地、鉱山や油田跡のなどが1億ヘクタール近くもあり、かなりの部分を特定エネルギー林の拡大に活用できる。ただ、開墾してプロジェクトの目的を達成できるのか、今のところまだ明確な計画や枠組みはない。中国林業科学院の専門家は「荒れ山や荒れ地、アルカリ土壌は水が必要であり、水資源をいかに確保するかが1つの問題だ」と懸念を示す。

発展のテンポを加速

財政部の朱志剛副部長は「バイオエネルギー産業を発展させる時機はほぼ熟しており、発展のテンポを加速させなければならない」と強調する。

昨年1月1日から「再生可能エネルギー法」が正式に施行。これにより、バイオエネルギーの大規模な発展と関連市場の迅速な構築が可能となったのは間違いない。現在、関係機関は実施細則の制定を急ぎ、早期の制定を目指している。王副理事長ら専門家は、実施細則について(1)穀物を原料とせずに生産する(2)栽培地を占有せず、荒れた山や林、アルカリ土壌でのエネルギー作物栽培の発展をより考慮する(3)国は財政や税制、融資面からメタノール燃料製造企業を支援する――との内容になるとの見方を示している。さらに王副理事長は「中央政府は厳格な市場参入制度を設けるだろう。先進性を奨励する原則に基づき、市場に参入する企業に関しては、入札制度を試行し、政府は効率が高く、補助が少ない企業を支援し、産業が発展し成熟した後に、政府は市場から退出する」と説明した。

去年末、財政部と国家発展・改革委員会、農業部、税務総局、林業局などは共同で「バイオエネルギーの発展とバイオ化学工業の財政・税制面の支援政策に関する実施意見」を公布。4項目の財政・税制政策でバイオエネルギーの発展を支援するというものだ。

まず第1は、リスク基金制度を確立し、弾力的な欠損補てんを実施することで、石油価格の変動リスクを回避し、市場に向けて安定した予測を打ち出すことだ。石油価格が企業の正常な生産・経営を維持する最低価格を上回った場合、国は欠損を補てんせず、企業はリスク基金を創設しなければならない。石油価格が最低価格を下回った場合は、まず企業はリスク基金で欠損を補てんする。石油価格が長期にわたり低迷した場合には、適時に弾力的な欠損補てんメカニズムを発動し、企業に適度な補てんを行う。

第2は、原料生産基地を補助することだ。原料供給の確保がバイオエネルギーとバイオ化学工業を発展させる前提となる。中央政府は冬の休耕田やアルカリ土壌、荒れ山など未利用の土地を開発して生産基地を建設するよう奨励する。基地の開発に当たっては、まず土地の開発と整備、農業の総合開発、林業生態プロジェクトとの関連性を考慮し、関連する優遇政策を享受できる。「企業+農家」方式で経営する主力企業に対しては、状況を見ながら適度に補助する。

第3は、モデルプロジェクトに対して適度に補助することだ。繊維素メタノールなど重要な意義のある技術産業化プロジェクトモデルを奨励することで、再生可能エネルギーの技術力を高める。

第4は、確実に支援が必要なバイオエネルギーとバイオ化学工業企業に対して、税制面で優遇政策を実施することで、関連企業の市場競争力を増強することだ。

その他一連の新政策も相次いで制定される計画だ。

「北京週報日本語版」2007年2月12日

 

 

   前のページへ   1   2  

北京週報e刊一覧
トップ記事一覧
インフレは依然、経済最大の潜在的懸念
「タイガーマザー」論争、どんな母親が優れているのか?
中国、水利整備を加速
潘魯生氏 手工芸による民族文化の伝承
特 集 一覧へ
第7回アジア欧州首脳会議
成立50周年を迎える寧夏回族自治区
現代中国事情
中国の地方概況
· 北京市  天津市 上海市 重慶市
· 河北省  山西省 遼寧省 吉林省
· 黒竜江省 江蘇省 浙江省 安徽省
· 福建省  江西省 山東省 河南省
· 湖北省  湖南省 広東省 海南省
· 四川省  貴州省 雲南省 陝西省
· 甘粛省  青海省 台湾省
· 内蒙古自治区
· チベット自治区
· 広西チワン族自治区
· 新疆ウイグル自治区
· 寧夏回族自治区
· 澳門特別行政区
· 香港特別自治区