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バイオエネルギーと穀物の安全

――中国はエネルギー構成での代替エネルギーの比率を段階的に引き上げると同時に、「非穀物主体」のバイオエネルギーの発展をより重視するようになった。

唐元愷

この3年近く、東北地方の吉林省・楡樹市は連続して「全国穀物生産第1の県・市」となった。年間穀物生産量は240万トン、そのうちトウモロコシは180万トンだ。ところが孫凌岐・助役は「市の2大バイオエネルギー・プロジェクトが全面的に始まれば、トウモロコシは不足し、外部から調達する必要があるだろう」と語った。

こうしたプロジェクトは全国範囲で急速に拡大しつつある。わずか10年前まで、エネルギーとバイオは全く無関係だったが、現在では経済の高度成長とエネルギー不足(世界のほぼ確認された石油開発年限はわずか40年余り、天然ガスは60年、石炭は211年)という状況の中、両者は「代替エネルギー戦略」の名の下で共に歩み出した。つまり、バイオエネルギーは「地球上に固定された太陽エネルギー」であり、再生可能だとすでに認められている、ということだ。

中国は原油の純輸入国となった96年からエネルギー政策の調整を開始。エネルギー構成での代替エネルギーの比率を段階的に引き上げながら、バイオエネルギーの開発と使用、普及を奨励し、石油や石炭など再生不可能なエネルギー依存からの脱却に努めてきた。

各種の代替エネルギーの中では、自動車燃料の研究開発が1大重点となる。中国では石油消費で交通が50%前後を占める。再生可能な生物燃料であるメタノールは最も将来性があると見られており、現在、世界的に生産規模が最大のバイオエネルギーだ。環境保全や農民に利益を受けさせられる(原料は多くが農村に由来する)ことから、中国政府も重視するようになった。河南や安徽、吉林、黒竜江の4省の企業4社が指定を受け、トウモロコシや小麦などの穀物を主要原料とするメタノール燃料生産工場を建設。10%の割合でガソリンと混合して自動車燃料を製造すれば、原油の節約にとどまらず、ガソリン燃焼による大気汚染を減少させると同時に燃料効率も向上できる。中国は現在、メタノールの生産と応用で世界第3位だ。消費量はガソリンの20%以上で、政府が補助して9省で販売と使用を推進しているところ。だが、穀物の安全を考慮して、国の関係機関は非常に慎重であり、新規のメタンール生産プロジェクトは認可されていない。それでも、原油高と市場の将来への期待から、ますます多くの投資家と穀物生産地帯の政府は「二輪駆動」で新規プロジェクトに着手し続けているのが実情だ。「穀物市場はエネルギー化によって大きく変わりつつある。市場が需給のバランスを失えば、1%の不足でも思いがけない連鎖反応を起こすだろう」。こう警告する重慶のコラム作家・李北陵氏は、一部の地方が形を変えて、より隠ぺい的に国が定めた厳しい制限を何とか逃れ、やみくもに穀物転換プロジェクトを継続していけば、「潜在的な問題は単に、1000万トン余りのエネルギー生産にとどまらない」と指摘する。

停止の緊急コール

穀物からメタノール燃料を生産する過熱傾向とやみくもな流れは昨年末、ついに中央政府から“急ブレーキ”をかけられた。国家発展・改革委員会と財政部は「バイオ燃料・メタノールプロジェクトの実施管理と産業の健全な発展に関する通知」を出し、各地方に対し、トウモロコシなどの穀物をメタノールに加工するプロジェクトの審査・許可と届出を暫時停止すると共に、現在実施中と実施計画のプロジェクトについて全面的に見直すよう求めた。また、「その土地の事情に即する、穀物を主体としない」などの原則にのっとってメタノール燃料を発展させるよう呼びかけた。

トウモロコシは中国の3大穀物の1つ。生産量は長年にわたり穀物総生産量の20%以上を占めている。「通知」によって将来の一定期間、トウモロコシなどの穀物の工業への需要増加スピードはやや低下するだろう。市場の専門家は、今年のトウモロコシ市場の需給はほぼバランスを保ち、価格も総体的に安定すると見ている。

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