また、一部の新興分野での相互補完性にも目を向ける必要があります。例えば、環境保護技術です。カナダには環境保護技術の開発でかなり先進的な企業があり、同時に、中国も環境の質的向上や、医療の改善、それに教育の質を「第11次5カ年計画要綱」の重点にしています。環境面で、中国は確かに多くの試練に直面しており、国家戦略を策定する必要がありますが、環境保護技術の面では将来、利益を受けることができるでしょう。カナダを含め多くの先進国が経てきたように、私たちが現在持っている技術は30年前、あるいは50年前の工業革命のときにはなかったものです。こうした先端技術によって、温室効果ガスの排出を削減したり、生産プロセスをクリーンにしたりすることができるなど、さまざまです。望むのであれば、私たちは技術を模索して解決することができます。つまり、技術と政策を結びつける、ということです。こうすることで、中国だけでなく、さらに世界的な範囲で私たちの環境保護に対する思い、理想を実現することができるでしょう。
記者 カナダの「グローバル・チャイニース・プレス」の報道によれば、10年のバンクーバー冬季五輪組織委員会は中国企業を呼び込むため、わざわざ中国版のビジネスガイドを作成しました。では、08年の北京五輪、10年の上海万博の期間、両国はサービス分野でどんな協力をするのでしょうか。
総裁 この面での協力を期待しているのはもちろんです。実際、私たちは先ごろ、上海で「上海CCBC貿易投資フォーラム」を開催し、上海万博組織委員会の副主席と突っ込んで意見を交換しましたが、その内容の一つが、万博開幕前、開幕中、そして閉幕後にカナダの企業にビジネスチャンスがもたらされるかどうか、ということでした。協議は非常に成功しました。
私たちが望むのは、北京五輪、上海万博、それにバンクーバー冬季五輪、この3者を通して、参加する選手、または参加国に快適な環境を提供するだけでなく、同時に両国の企業がそこからビジネスチャンス、利益を得られるようにすることです。
記者 99年にカナダの世界貿易機関(WTO)大使となり、WTOジュネーブ理事会の会長に任命されましたが、中国のWTOルールの順守については、どのように評価しているのでしょう。
総裁 中国が01年にWTOというグレートファミリーに参加してくれたことには、本当に気持ちが高ぶりました。私はずっと、中国は経済面で優れ、国の規模から見て、重要な問題処理などで、WTOで急速にその重要な役割を発揮しつつあると思っています。中国の役割は非常に建設的です。ジュネーブでも、中国は発展途上国の模範であるだけなく、すべての国が学ぶべき模範ではないでしょうか。
私はWTOジュネーブ理事会の会長に就任した際、大使を要請してある事項について協議する場合には、必ず中国大使にも要請するようにしました。WTOのいかなる重大な政策決定においても、中国のかかわりは重要な意義があるからです。
中国初代のWTO大使である孫振宇氏は私の良き友人でもあります。友好的な人柄で、卓越した才能と知識を備えた一流の外交官です。
私は、中国はWTOでますます重要な役割を発揮すると考えています。
記者 総裁は大学時代、都市計画を専攻していました。北京五輪の競技施設の建設工事については、どう見ていらっしゃいますか。「水立方体」や「鳥の巣」は視察されたのでしょうか。
総裁 私は専攻したものを実践してきたわけではありません。言えば、自らの人生設計を充実させてきたに過ぎません。
残念なのは、まだ北京五輪の競技施設の様子を見るチャンスがないことですが、北京の一流の基盤施設や、建築物は目にしています。こうした変化は大変に喜ばしいことであり、建設工事を進めるうえで重要な原動力になるものです。
都市計画という角度から見れば、五輪会場や万博会場の工事は一流のものになることでしょう。それは確かです。例を挙げれば、万博では「より良い都市、より良い生活」がテーマになっています。ですから私は、万博は、都市をいかに居住に適したものにするかを私たちに警鐘すると同時に、質的に高い生活への渇望と都市計画、それに建築芸術を一体化させることのできる絶好のチャンスになるのではないかと思っています。
「北京週報日本語版」 2008年1月29日 |