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特集  
民間が海外流出文化財を回収

「中華搶救流失海外文物専項基金(海外流出文化財保護組織)」は、今回派遣した「文化財回収団」の主要な目的は、単に海外からどれほどの文化財を取り戻すかではなく、流出した文化財を買い戻すモデルを確立とともに、社会がこうした文化財返還問題に関心を寄せる雰囲気を醸成することだ、と話している。

                                        馮建華

民間の収集家からなる全国初の「海外流出文化財回収団(以下、回収団)」は5月9日、7日間の日程を終えて日本から北京に戻った。回収団の発表によれば、東京や横浜、名古屋、京都、大阪などを見て回り、経済的価値の高い文化財20数点を買い戻したという。

1840年のアヘン戦争以降、中国の貴重な文化財は戦争や不正な貿易などで大量に海外に流出した。中国文物学会の統計によると、この百数十年の間に欧米や日本、東南アジアなどに流出した文化財は1000万点超。うち国指定の1、2級の文化財は百万点余、至宝は数十万点を数える。そのほとんどは民間に散在している。ユネスコ(国連教育科学文化機関)の統計によれば、世界47カ国200余りの美術・博物館が収蔵する中国の文化財は167万点にのぼるが、個人収蔵の10分の1にすぎない。

歴史の証明として、文化財は文明を伝承する重要な媒体である。ある意味から言えば、文化財という「証左となるもの」を失った国あるいは民族は、まさに一部の歴史が切り離されたようなもので、完全とは言えない。こうしたことから、経済的地位の向上に伴って、中国社会でも海外に流出した文化財を探し戻すよう求める声があちこちで上がってきた。国際的に見ても、こうした要求は普遍的だ。多くの国が法律と道義の原則に基づいて、違法な手段やルートで海外に流出した文化財の追跡に粘り強く取り組んでいる。国の主権と民族の尊厳を守るために、強硬な外交手段をとるケースさえあるほど。

率直に言えば、国内に多くの問題を抱えているため、政府にこの問題を顧みる余裕がないのが実情だ。民間の力が強まってきたのにはそうした背景がある。2002年10月に北京で発足した「中華搶救流失海外文物専項基金(以下、基金)」は、民間ルートを通じて、政府に協力して海外流出文化財の回収を促進する全国初の民間公益組織。基金の専任職員はわずか4人だが、創立以来の活動はすべて幅広い関心を呼んだ。2003年7月5日、基金は中国の法律や、中国が調印した国際条約の原則に基づいて、多ルートを通じて海外流出文化財の祖国返還の実現を目指す「国宝級文化財回収プロジェクト」をスタートさせた。今回の回収団派遣はその一環。今後はアメリカやフランス、イギリス、スウェーデン、ノルウェーなどを回る計画だ。

回収団については、「人心を得、民意を反映したもので、もっと早く行動を起こすべきだった」と評価する人が多い。一方、「実際は愛国という看板を掲げての商売行為にすぎず、たいした社会的意義はない」と批判的な声も一部にある。また「国宝の返還では、政府が主要な役割を果たし、外交・法的手段を運用すべきだ。民間組織の力は象徴的なものにすぎず、根本的にはたいした実質的な役割は担えない」といった「理性的」な意見や、「失業者を多く抱え、また文化財が効果的に保護されていない状況で、たとえ海外から文化財を買い戻したとしても、『恥の上塗り』になり、全くそんな必要はない」といった声もあるほどだ。

回収団を送った動機は何か。民間組織としてどんな役を演じるのか。こうした問題について、団を組織した基金の牛憲鋒副事務局長に5月22日、インタビューした。

記者:なぜ今回、回収団を組織したのか。

牛氏:経済条件が改善されるにつれて、ここ数年、民間で収蔵熱が高まってきた。一部の収集家は視野が広がってきたことで自然、海外へという考えが芽生え始めた。すでに海外に出ている収集家は大勢いても、ほとんどが「一兵卒作戦」だ。だから効果は大きくない。もし、民間組織がこうした収集家をまとめて共同で買い戻せば、相手の信用が得られやすくなるだけでなく、双方の交流や効率の向上にも役立つだろう。また、2002年10月に改正された「中華人民共和国文物保護法」で、民間でも購入やオークションなどの形で文化財を手に入れたり、法律に基づいて流通させたりすることが許されるようになった。これで庶民の文化財回収にある程度、法的根拠が整った。回収団を組織したのは、国内の収集家の要望に応えるためだ。

一方で、社会的に大きな関心を集めることで、流出した文化財に社会が関心を寄せる雰囲気を醸成したかったためでもある。違法に海外に流失した文化財を探し出すのは国家間のことだから、政府が主体となるべきだとは思っている。この面では、イタリアなどに成功例がある。しかし、そうだからといって、民間組織としての役割と力を無視してはならない。国際的には、この問題では民間組織が先行しており、地固めをした後に、政府が決着をつけるケースが多い。

記者:回収団の目的は何か。

牛氏:単にどれほどの文化財を取り戻すかではなく、買い戻すモデルの確立を探索することにある。回収する方法は主に海外からの返礼、買い戻し、返還の請求の3つがある。

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