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真の民族和解がなければ日韓関係に未来はない
時永明  ·   2017-01-18  ·  ソース:
タグ: 日韓関係;慰安婦問題;政治
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先ごろ、韓国の市民団体が釜山の日本総領事館前に従軍慰安婦を象徴する少女像を設置したことで、日本政府が対抗措置を講じ、駐韓国大使を一時帰国させる事態となり、日韓関係が危機に陥っている。この件は、表面的には2015年末に結ばれた日韓間の慰安婦問題合意をいかに実行するかという問題に見えるが、実質的に提起しているのは日韓間国家関係の基盤にかかわる問題である。

歴史問題は中日関係だけでなく、韓日関係発展にとっても主な障害の1つである。日本の安倍首相が推進する歴史修正主義は極端な方向へと向かっている。安倍首相は東京裁判に疑問を呈しただけでなく、「侵略に定義は定まっていない」とまで発言し、日本軍国主義がかつて侵略戦争を発動した事実を否定しようとしている。安倍首相に注意を促す必要があるのは、国連総会第29回総会が1974年12月14日に「侵略の定義に関する決議」を正式に採択していることだ。決議はさらに安全保障理事会に「侵略の定義」に注意するよう提起している。日本は安全保障理事会改革が必要だと騒ぎ、常任理事国入りを争っているというのに、国連総会決議に対する集団的無知をさらしたのである。

安倍首相の歴史問題に対するもう1つの間違った修正は、日本政府の侵略戦争期間中の従軍慰安婦問題に対する国家責任を否定したことだ。1996年、国連人権委員会は「慰安婦」問題について独自調査を行い、クマラスワミ氏が提出した「戦時における軍事的性奴隷」問題に関する調査報告書を発表した。この報告書は日本が強制的に「慰安婦」を従軍させた事実を確認し、日本政府に対して関連責任を負い、被害者への謝罪と損害賠償を行うよう要求している。安倍首相は2度目の首相就任後、まず河野洋平内閣官房長官(当時)の「河野談話」を覆し、その後も様々な手段で当時慰安婦問題を報道した日本メディア『朝日新聞』と関連記者に対し政治的包囲攻撃をかけ、報道における些細な問題を利用して『朝日新聞』に謝罪を求め、国内世論を封じた。一方国際的には、安倍首相は公然とクマラスワミ氏に報告書を撤回するよう要求し、慰安婦問題で日本への抗議の声が最も強い韓国人を黙らせようとした。

2015年末、国中に反対の声が広がる中、パク・クネ(朴槿恵)政権は安倍政権と慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」で合意するという軽はずみな行動を取った。客観的に見れば、この合意は韓国側に得るところがあった。第一に、安倍首相は日本に慰安婦問題に対する国家責任があることを認めた。第二に、安倍首相は被害者に謝罪した。しかし、安倍首相は明らかに責任を「道義」的な面だけに限っており、依然として日本が国として「法的責任」を負うことを認めようとしなかった。つまり安倍首相は依然として「慰安婦を強制連行」した歴史的事実を認めていないのである。安倍首相は10億円というわずかばかりの金額で被害者に「補償」をし、それによって被害者に対し法的に国家賠償を行うことを免れた。安倍首相の謝罪も明らかに誠意のないものだった。安倍首相はパク大統領との電話で「非公式に」謝罪したに過ぎず、韓国国民はそれを伝え聞くことしかできなかった。しかし、韓国がこのために払った代価は非常に甚大だった。第一に、韓国政府は永久に国際社会で慰安婦問題を持ち出すことができない。第二に、韓国政府には韓国の市民団体が駐韓国日本大使館前に設置した慰安婦少女像を撤去する責任と義務がある。言い換えれば、韓国政府には韓国国民を「黙らせる」責任があるということだ。

このような明らかに政治取引色が強い合意を韓国国民が受け入れられないのははっきりしていた。明確に「まったく認めない」とする被害者もおり、女性たちは「お金のために戦ってきたとでもいうのか?」と問いかけた。実際、韓国の被害者が要求しているのは、ニュルンベルク裁判のように、日本の侵略戦争におけるC級戦犯、すなわち特定人種に対する虐殺や奴隷のような酷使など人道に対する罪に対して責任を追究することだ。当時の東京裁判ではA、B級戦犯だけが追究され、C級戦犯とされるべきだった慰安婦問題については触れられなかったからだ。それ故に、韓国国民はこの合意を受け入れられなかったのである。そしてまさに受け入れられないということを伝えるために、韓国の市民団体は同合意書調印一周年に際して、釜山の日本総領事館の前に慰安婦少女像を設置したのだ。韓国国民の抗議を前にして、日本政府は極端な対抗措置を講じて韓国政府に圧力をかけた。これは明らかに、韓国が対内・対外的に政治が行き詰っている機会を利用して、韓国政府に慰安婦問題で韓国国民を「黙らせる」義務を正式に担わせようとしたのである。

思いがけないことに、韓国政府は今この義務を果たそうとしている。このような国民感情と歴史の正義を無視した方法で韓日間の歴史問題を解決しようとするやり方は、韓日関係を道義的基盤のない純粋な利益関係にしてしまう。歴史問題を直視できなければ、両国関係にも明るい未来はないだろう。

注意しなければならないのは、韓日「和解」の主な推進力が米国であることだ。オバマ政権はアジア太平洋リバランス戦略を推進するために、安倍首相の歴史修正主義に一時しのぎの放任的な態度を取り、韓日関係で韓国に圧力をかけただけでなく、自身も日本と正義なき「和解」をした。歴史が残した問題を真に解決せず、国際関係の正義を確立していない状況下で、米国政府がアジア太平洋軍事同盟体系の強化を推進していけば、韓日両国の民族間に積もった恨みをさらに激しくさせるだけだ。韓日両国に慰安婦問題をめぐって起きた外交上のもめごとに対し、我々は細心の注意を払うと同時に、その背後にある政治の暗流を警戒していかなければならない。

(時永明・中国国際問題研究院アジア太平洋地域問題副研究員、本誌特約執筆者)

「北京週報日本語版」2017年1月19日

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