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評論  
中米関係の行方

――第3回戦略・経済対話から見た中米関係の未来

王鴻剛(中国現代国際関係研究院米国研究所副所長)

 

第3回中米戦略・経済対話が5月9~10日、ワシントンで行われた。2010年の激しい駆け引きと2011年初めの「胡錦濤・オバマ会談」後、双方が行った全面的で率直な実質的対話であった。

5月9日、オバマ米大統領はワシントンのホワイトハウスで、第3回中米戦略・経済対話を主宰した胡錦濤主席特別代表、王岐山中国国務院副総理、戴秉国国務委員と会見した(張軍撮影)

安定の裏に潜むもろさ

2010年の激しい駆け引きと比べ、2011年初め以来の中米関係は何事もなく平和であるように見える。内的要因を見てみると、その源は1月の「胡錦濤・オバマ会談」という「1979年以来中米関係で最も重要なハイレベル訪問」のけん引効果にある。今回の「胡錦濤・オバマ会談」はそれまで悪化傾向にあった2国間関係を回復へと効果的に転じさせ、しかも双方の自己再認識と相互理解の強化を促し、互いの能力と意図、ボトムラインと目標をいっそう認識するようになった。特に、双方が発表した『中米共同コミュニケ』で「相互尊重、互恵・ウィンウィンのパートナー関係」という新たな位置づけが確立されたことで、2国間関係の性格があいまいだったことによる面倒が解決し、『中米共同コミュニケ』は今後の中米関係の発展を導く綱領的な文書となった。「胡錦濤・オバマ会談」後中米関係が安定発展期に入ることを各方面が期待しているし、またその可能性はおおいにある。

外的要因について見てみると、中米関係が数カ月来いざこざがなく平和であったもう1つの重要な原因は、最近発生した2つの「地震」である。1つは中東の「政治的地震」。チュニジアの国内騒乱をきっかけに地域全体でドミノ現象が起き、中東と北アフリカ地域に第二次世界大戦以来最も大きな変化が生じた。中東の非常事態に対応するために、米国は戦略のアジア太平洋地域へのシフトを推進すると同時に中東にも目を向けざるを得なくなり、アジア太平洋地域戦略方式も変化が生じ、中国を真っ向から刺激することが少なくなった。もう1つは日本の「自然災害地震」である。3月11日に発生した東日本大震災により、米国のアジア太平洋地域戦略における重要拠点である日本は自国のことで手いっぱいになり、しかも中国の震災援助に対する感謝の念を抱き、中日関係に微妙な変化が起きた。米国がアジア太平洋地域で盟友と結んで中国に対抗する戦略を取り続けるとしたら、それは時宜に合わないように見える。こうした状況下で、中米の競争と矛盾は段階的に弱まり、表面に出なくなっていった。

しかしこうした何事もなく平和な状態は非常にもろく、背後には目に見えない動きがたくさんある。中米関係は世界で最も重要で、最も複雑かつ最も敏感な2国間関係であり、2国間から地域、さらに世界のさまざまな方面に影響が及ぶため、中米関係の発展は両国トップのやり取りだけで維持・推進することはできない。「パートナー関係」という新たな位置づけは、両国関係発展の指導原則であり、確かな内容で肉付けし下支えすることが必要だ。さらに重要なのは、中米関係を制約し損なってきた昔からの問題が解決も抑制もされておらず、その上新たな問題も浮上してきていることである。

昔からの問題では、ダライ・ラマ会見、台湾への兵器売却、イラン核問題、朝鮮核問題とそれによる半島問題、三海(黄海、南海、台湾海峡)問題など、かつて長期にわたって中米関係の発展に影響を及ぼし2010年に中米の駆け引きの焦点となったテーマが、今後も引き続き中米関係の安定を妨げる可能性がある。

その一方で、中東の騒ぎがきっかけとなり、オバマ政権に世界範囲で「民主化戦略」を推し進めようという動きが顕著になってきた。米国は「インターネットの自由」と「公民社会」に関する対話推進の形で暗に中国を非難するような行動に出ており、中国側は警戒感を高めている。米国のほうも、間もなく進水する中国の航空母艦が「地域パワーバランスを変える」のではないか、中国が「BRICS」の集団的発展を率いて米国の利益を侵害するのではないかなどの問題について、よく分からなくて自信を欠いているように見える。米国のクリントン国務長官は3月に上院で証言した際、憂いを込めて「米中は世界における影響力争いのために直接競争を展開している」と述べ、米国国家安全保障会議の高級官僚も複雑な心情を滲ませながら中国に「責任ある競争者」となるよう要求した。双方間に新たに生まれたこうした疑いや猜疑は両国関係の新たな問題となっており、2国間関係の複雑さをいっそう増した。さらに米国務院、国防総省、国家安全保障会議のアジア外交担当高級官僚や駐中国大使が相次いで交代したことも、中米関係により大きな不確定性をもたらしている。

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