反対に、日本はむしろロシアに比べより多くの経済的利益を念頭に置いている。結局は、ロシアの天然ガスに依存し、サンクトペテルブルクに建設したトヨタなどの自動車工場による経済的利益を享受しようとしている。
プーチン政権の後期、ロシアの北方四島に関する立場ははっきりしていた。つまり、四島問題は経済問題と切り離す、平和条約締結の問題とも切り離す、ということだ。従って、この問題で日本がロシアの立場を揺り動かすのは難しい。
こうした背景が理解できれば、日本とロシアをめぐる駆け引きの勝敗は明々白々である。だが、どちらが優位に立つかはっきりしない中、日本は大使召還という「かなり厳しい」措置を講じた。ロシア側もかなり老練な反応を示しており、ラブロフ外相は日本がこれほど厳しい行動に出た理由が解せない、と一貫して主張。わが国の大統領が自らの領土を視察することが、どんな関係があるのか、という意味だ。同時に外相は「ロシアが大使を召還することはない」と強調している。
このように、ボールは日本の足元に投げ返された。ここで注視すべきは、日本の大使は「臨時に召還」された、つまり、いつでも戻る可能性がある、ということだ。正式の召還であれば、ロシアも必ず同じように大使を召還するだろう。日本側がこうした行動でロシア側の翻意を期待しているのは明らかだが、目的は達成されておらず、事態収拾は難しそうに見える。大使がこのように帰国すれば、外交的にマイナスの面が非常に多いからだ。
このような膠着した状況にあって、第3者に局面を打開させることは可能だろうか。米国務省のコーリー報道官が示した「日米安保条約は日ロの争いには適用されない」との考えは、その可能性を否定したものに等しい。米ロ関係はようやく「リセット」され、両国はアフガニスタンで麻薬取締り共同作戦を展開したばかりだ。ワシントンが東京のためにモスクワとの関係の進展を犠牲にすることはない。
理解に苦しむのは、メドベージェフ氏は早くから北方四島を訪問する考えを示しており、ただ天候の関係で実現できなかったものの、このように長い時間がありながら、日本が「大使召還」、という時宜にまったく適さない対応策しか取れなかったのは何故か、ということである。日本外交の稚拙さを示しているようだ。
また、「ロシアの大統領は釣魚島をめぐる中日紛争に乗じて、中国を支援するため北方領土を訪問した」との報道については、それを証明するに必要な情報がないため、みだりに結論を下すことはしない。ただ、それはまさに、中米ロという3つの大国に挟まれた日本のやるせない立場を際立たせている。(方亮)
「北京週報日本語版」2010年11月8日
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