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砂漠緑化が植物園へと発展
  ·   2022-05-23  ·  ソース:人民網
タグ: 新疆;環境;社会
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中国科学院吐魯番(トルファン)砂漠植物園は、世界で唯一の海面より低い位置にある植物園だ。ここはかつて不毛の砂漠地帯で、科学研究者が40年以上かけて努力を重ねた結果、現在のように耐塩性と耐乾性を備えた乾生植物500種類以上が茂る場所となっている。人民日報が報じた。

現在、砂漠植物園となっている場所は、20世紀は砂漠で、風食によって砂漠化した約6000ヘクタールの土地が周辺の生産や生活エリアを脅かす砂嵐の発生源となっていた。中国科学院新疆維吾爾(ウイグル)自治区生態・地理研究所の研究員・潘伯栄氏によると、毎年春になると、トルファンは砂嵐に襲われ、農業に深刻な被害をもたらしていた。「初めは、植物園を作るためにトルファンに来たわけではない。当時は、地元政府の要請を受けて、砂漠緑化のために来た。砂漠緑化の成果が出始めてから、植物園にする計画が次第に形になり始めた」という。

実地調査や国内の調査研究を通して、現地の気候や土壌、飛砂の特徴に合わせて、科学研究者は中国西北エリアの各砂漠地帯から砂丘を固定するための植物を導入し始めた。そして、沙拐棗(タデ科植物)、ハロキシロン・アンモデンドロン、タマリクス・ラモシッシマ、コトカケヤナギといった、強風に強く、砂丘を固定する作用があり、耐乾性を備えた優良植物10種類以上の育成に少しずつ成功していった。計画と設計を経て、科学研究者は1975年に、広範囲に設置した砂丘を固定する人工低木林の中の土地を選んで、新疆ウイグル自治区で初の植物園としてトルファン砂漠植物園を設置し、乾燥した砂漠地帯の各種植物をさらに良い状態で導入、収集し、その繁殖と育成に取り組むことにした。

劣悪な環境における試行錯誤を経て、植物園の中の動植物も次第に豊かになっていった。砂漠化が防止されたことで、土地は少しずつ生活に適した場所へと変わり、植物園にあるテラスに立つと、周囲で栽培されているブドウや、移転してきてそこで暮らしている住民たちの姿を見ることができるようになった。中科院新疆ウイグル自治区生態・地理研究所の補佐研究員・王喜勇博士は、「それら全ては、数十年かけて砂丘を固定してきた成果だ」と胸を張る。

王博士によると、植物園では現在、500種類以上の植物が導入、栽培されており、そのうち砂漠地帯特有の希少・絶滅危惧植物が約60種類となっている。そして、常温・低温生殖質資源バンクが構築され、乾生植物の生殖質資源600種類以上、3500点が長期にわたって効果的に保存されている。また植物園は、砂漠地帯でも育つ特用果樹ガーデンや砂漠地帯の野生観賞用植物ガーデン、タマリクス・ラモシッシマガーデンなど、特殊な植物を種類分けした12ガーデン(エリア)を設置している。「トルファン砂漠植物園は、中国において域外保全されている乾生植物資源が最も多い植物園だと言える。砂丘を固定する植物のほか、薬用植物もある。人工栽培技術を開発し、野生の植物を掘り起こす必要はなくなったので、薬草を掘り起こしたことが原因で砂漠化してしまうということも少なくなる」という。

トルファン砂漠植物園は、設置当初から「科学研究により植物園発展を促進する」というスタイルを採用してきた。砂漠地帯で育つ植物数百種類が中国科学院トルファン砂漠植物園に運ばれると、まず科学研究者が優良品種を選んで育成し、それがまた中国北方エリアの砂漠緑化や砂漠化防止の第一線の現場へと運ばれていく。

中国最大の砂漠「タクラマカン砂漠」を見ると、タマリクス・ラモシッシマやハロキシロン・アンモデンドロン、沙拐棗(タデ科植物)といった砂丘を固定する植物が、砂漠を南北に縦断する道路の沿線に茂っており、飛砂により道路に砂が堆積するという問題を効果的に防止している。砂漠を貫く道路としては世界最長のこの道路では、2005年に436キロ全線で緑化が完了し、防砂林が砂漠に命の息吹を与えている。それらは全てトルファン砂漠植物園で厳選された植物だ。

トルファン砂漠植物園は、導入と栽培に成功した乾生植物資源を開発し、「三北」防護林プロジェクトや砂漠化防止・砂漠緑化プロジェクト、農地における耕作を放棄し、植林、植樹する退耕還林・還草プロジェクト、砂漠道路防護林プロジェクト、乾燥帯都市防護緑地建設プロジェクトなどに、乾生植物の苗木百万株以上、種50トン以上を提供し、砂漠化防止・緑化促進、砂産業の発展に多大な貢献を果たしてきた。

科学研究者は現在、その目を遺伝子研究に向けるようになっている。トルファン砂漠植物園の張道遠園長は、「乾生植物の耐乾性、耐塩性遺伝子を抽出し、ゲノム編集を通して、農作物栽培に活用している。綿花栽培研究の面ですでに成果を挙げており、実験畑での応用がかなり進んでいる」と説明する。(編集KN)

「人民網日本語版」2022年5月20日

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