|
本誌記者 蘭辛珍

通貨下落、インフレ、ホットマネーの流出……ベトナム経済は今、大きな問題に直面している。08年2月28日、ベトナムドン紙幣を整理するハノイの銀行員
通貨下落、悪性インフレ、高額の国際資本の撤退、住民の購買力の低下及び一連の物価上昇をめぐるストなど、ベトナムは今、経済危機に直面している。
現時点ではベトナム経済危機はアジアその他の経済体に大きなマイナス影響をまだもたらしてはいないが、国際社会、特に新興経済体はベトナム経済危機への警戒感をゆるめてはいない。
ベトナムに投資する中国企業への影響
ベトナムの北部は中国に接している。1991年から中国の企業はベトナムに投資して工場の設立を始めた。今年初め、中国では「両税合一」(外国企業、国内企業に対する法人税率の統一)、新労働法が実施され、輸出関税払い戻し政策が見直されたため、企業のコストが増加し、電子、衣類、靴類などを生産する一部の労働集約型産業がベトナムに移転した。
現在、ベトナムに工場を保有するか、もしくは高額の貿易取引を行っている中国の企業は20社余りあり、それら企業は農機具、紡績、電力、自動車などの分野に投資している。その中にはTCL、美的(Midea)、蘇泊爾(SUPOR)、格力(Gree)、新希望(New Hope)などの有名企業もある。新希望はベトナムへの投資規模が最も大きく、ハノイ、ホーチミン、ハイフォンの各市に直接投資公司を3社設立しており、資産総額は2億ドル余りにのぼっている。新希望のベトナムでの売上と利潤は同社の売上総額と利潤の10%を超えている。
新希望が発表した公告によると、ベトナムに設立した新希望の分社工場は経済危機の影響を受けておらず、市場販売は中国国内と同様に良好な態勢を保っている。ベトナムのインフレによって原材料が値上がりし、製品価格も上昇することになるが、市場のニーズが大きいため、製品は依然として安定した売上高を保っているという。
蘇泊爾が発表した公告によると、同社の経済危機による営業への影響も大きくはない。同社はベトナムに設立した工場の発展に期待しており、同工場が同社の業績とブランド力向上に大きく貢献することを信じているという。
美的電器の発表によると、同社はベトナムで主に電子炊飯器、電子レンジなどの家電製品を生産している。現在、同社はベトナムでの投資規模が小さいため、ベトナムドン下落による売上への影響はなく、変動幅は決して大きくはないという。
TCL社は現在、ベトナムの投資プロジェクトに対する緊急評価を行っているが、今のところ大きな損失を受けてはいない。TCLベトナム公司は1999年に設立され、家電、消費電子製品、パソコンを販売。TCLグループはベトナムでの発展戦略を堅持していくと表明している。
最も影響を受けたのは湖北宜化と力帆グループかもしれない。
湖北宜化は6月12日、公告の中で、2005年にベトナム華越化工有限公司の設立を決め、尿素など化学肥料の製造・販売を計画していたが、ベトナム経済の動きにかんがみ、ベトナム駐在のスタッフを一時召還し、通訳1名のみを残して同プロジェクトの連絡事務に当たらせていることを表明した。
力帆グループは、ベトナムバイク工場が一時生産を停止している。現在、ベトナムで生産している力帆の製品は自動車とオートバイだが、そのうち自動車輸出はすべてドル決済のため、販売量がいくらか減る可能性があるほかは大きな影響はない。これに対し、力帆バイクはベトナムでの販売をベトナムドン決済にしており、タイミングを計ってベトナムドンをドルか人民元に両替しなければ、きわめて大きな損失がもたらされることになる。
|