▽FAO、中国の食糧安全保障を賞賛
中国の食糧価格の安定を図る一連の措置は、国際社会の高い評価を得ている。国連食糧農業機関(FAO)の事務局長補佐(FAOアジア太平洋地域事務所代表)の何昌垂氏によると、この数年、中国の食糧安全保障でいい成績を収め、食糧の95%以上が国内自給しているだけでなく、政府の政策により、食糧の生産および供給が調整されていることに対し、FAOから賞賛を受けている。
2008年に入ってから、世界中で食糧安全の警鐘が鳴らされている。食糧価格は高騰し、飢餓という「沈黙の津波」が世界を脅かしている。37カ国がすでに食糧危機に至っており、貧困地区における2千万人の子供の生命を脅かしている。世界で新たに1億人が飢餓難民に加わった。これとは対照に、世界最大の食糧消費国である中国は、消費者物価指数(CPI)が上昇を続けている中で、食糧価格は依然として安定している。
2007年、世界の小麦価格は112%増、とうもろこしは47%増であったのに対し、中国の食糧価格は約10%増にとどまった。商務部の市場監督部門によると、全国の食糧小売価格は、1月4日時点で1キロ当たり4.14元、5月2日時点で4.20元と、0.06元上昇したにとどまった。
▽国内で消費される食糧は国内生産でほぼ充足
中国は高い食糧自給率を有するため、食糧価格に急激な上昇は見られない。
国家発展改革委員会によると、2007年食糧生産量は5億トン以上となり、国内食糧消費量は5億1千万トンと、基本的に国内自給でまかなえている。
国家食糧局の曽麗瑛・副局長はこのほど、「中国の食糧生産量は連続4年の増産を達成しており、今年はさらに増加が見込まれている」と述べている。食糧が数年連続で増産することから、この数年の国家食糧備蓄率は高いレベルを保ち、食糧消費の17~18%(14%は警戒線)の国際的な安全ラインを上回っている。当年、購入した食糧がなくても、国有の食糧企業が備蓄している食糧で1年以上の消費が充分にまかなえる。
食糧システムの関係者は「中国は世界最大のコメ生産地であり消費地である。その自給率のバランスが取られているため、コメ価格は相対的に安定しており、コントロールも比較的たやすい」と述べている。
また、国家は一連の食糧をエネルギーに転換する開発プロジェクトを停止させ、食糧安全を保障している。業界内の関係者によると、この度の世界規模の「食糧危機」の一因は、「エネルギー危機」であるといえよう。先進国はこぞってエチルアルコール(サトウキビやトウモロコシなど植物を使って作られるエタノール)の確保に追われており、自動車が食糧を燃やす時代が到来し、食糧備蓄が減ったことが、大きな原因である。中国政府はその特殊な国情から、国家の食糧安全の保障を目的に、食糧をエネルギーに転換する開発プロジェクトの停止に踏み切った。国家発展改革委員会、財政部は引き続き、食糧をエネルギーに転換する開発プロジェクトの停止を通知し、バイオマスエネルギー・エチルアルコールの審査認可制度を実行する。また、国家のエチルアルコール計画において、「非・食糧」を用いることを更に明確にしていく。
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