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「80後」王学博監督が描く回族の内面世界――『清水裏的刀子』
尉紅琛  ·   2016-09-28  ·  ソース:
タグ: 映画祭;中国映画;文化
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先ごろ、中国映画『清水裏的刀子(Knife in the Clear Water)』が釜山国際映画祭「ニュー・カレント」コンペ部門とカナダ・バンクーバー国際映画祭「ドラゴン&タイガー賞」コンペ部門で相次いで出品作品に選ばれ、注目された。この回族を題材とした映画は、中国東北部出身の1980年代生まれ、いわゆる「80後」の王学博監督の処女作である。張芸謀、賈樟柯ら中国第5世代、第6世代の監督が中国映画の世界進出のためにたゆまぬ努力を続けていると同時に、いつの間にか表舞台に登場した「80後」世代の若手監督が、独自の視点と方法で一味違った中国の物語を紡いでいる。

中国のありふれた農村の物語を描いた独特の作品

『清水裏的刀子』は回族の作家、石舒清の同名短篇小説を脚色したものだ。小説は、中国西北部寧夏回族自治区に暮らすある普通のムスリム家庭が亡くなった家族の弔いをする物語を描いている。回族の独特の宗教習俗と内面世界を描き出し、第2回魯迅文学賞(中国で最も栄誉ある文学賞の1つ)を受賞した。

物語の舞台は寧夏回族自治区西海固地区のありふれた村。長年連れ添った妻を亡くした回族の老人馬子善は、法要の日に十数年飼い続けてきた牛を屠って妻を弔おうとする。しかし、法要の3日前、飲み水の中に自分を殺すことになる包丁を見つけた牛は、それ以降何も飲まず、何も食べなくなった。体の中を清浄にして命を終えようとしたのである。

作者の石舒清は言う。「この小説は映画化が難しい作品。十数年の間に多くの監督が映画化の話を持ち込んできたが、結局はまとまらなかった。若手の王学博監督が脚本を持ってくるまではね。6000字余りしかない、淡々としたシュールレアリスムの物語だが、王監督は原作に縛られずに脚色していた」。

小説でも映画でも、老人と牛の心のつながりと交流がその核心内容である。小説で牛が水の中の包丁を見つける重要なシーンについて、王監督はこう考える。「僕が追求しているのはリアル。牛が本当に包丁を見つけたのかについては、映画では正面から答えず、人と牛との関係で表現した」。王監督の脚色について、深圳の著名な映画コンクール・プランナーの王磊氏は、「原作小説は文学性が高く、監督の脚本は小説とはかなり異なったものになっている。監督の意図はなかなかいいし、完成度もまずまずだ」と評価する。

映画の脚本と小説の相違点はまだある。主軸となる物語のほかにも、王監督は原作で描かれた多くの内心の動きを基にして、映画の情景と人間ドラマを膨らませようとした。そのために、実際に西海固での生活を10カ月体験し、村民と付き合った経験を映画の脚本に取り入れた。彼が目にした村民たちの金の貸し借り、客を招いての食事といった生活のディテールが、作品の中に登場している。

従って、中国西部の農村で撮影された映画ではあるが、王監督は自分が撮ったのは農村映画だとは思っていないし、宗教を題材にした映画にも分類してほしくないと考えている。「この作品を撮っている時に構築したのは芸術形式。第5世代や第6世代の監督が撮ったのは、非常に郷土色の強い、中国的な映画だった」。

王監督は古典芸術にとても興味を持っている。この映画では、美学の面でも新たな試みを行った。ミレーとワイエスの絵を参考にして、西洋古典絵画の方式を採用し、画面比率もより絵画感のある4:3を選んだ。音声面では盲人を題材にした婁燁監督の映画作品『推拿(ブラインド・マッサージ)』の音声監督を務めた富康氏のアドバイスを受けて、作品全体に古典音楽を聴いているような感じを持たせた。90分の作品全篇が響き合う交響曲のようであり、老人と年老いた牛の清らかな内在精神を描き出した。近年来の中国の回族を題材にした映画美学における飛躍的な芸術表現である。

「この作品は古典的にも見えるし、神聖で純潔にも見える。人と人の間の平等や、農民たちの芸術的な魅力を感じてもらえるだろう」と王監督は言う。

王監督がこれまでに製作した映像作品を見てみると、多くが文学的な傾向を持っていることが分かる。この点について王監督は、「大学時代にも韓国ドラマやハリウッド大作などを見るのが好きだった。商業映画も拒否はしない。でも特別なものが好きなんだ。自分の作品が体制化されすぎたり、パターン化されたりしてほしくない」と率直に語る。

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