⒉ 中央財政の主要支出項目の執行状況

中央の定めた政策と活動計画にしたがい、全国人民代表大会の審査・承認を受けて、二〇一〇年度中央財政は農業や教育、医療衛生、社会保障・雇用、保障タイプの安住プロジェクト、科学技術、環境保護など諸分野への投入を増やしたため、諸般の重点支出（中央レベルの支出および地方への移転支出を含む）はかなり確保された。

⑴ 教育支出は二五四七億三四〇〇万元で、予算の一一七・九％を達成し、対前年度比二八・六％伸びた。内訳は、中央レベルの支出七二〇億九六〇〇万元、地方への移転支出一八二六億三八〇〇万元である。具体的に言うと、農村義務教育経費保障メカニズムの充実化に七三一億八〇〇〇万元を計上した。これにより、全国の農村で義務教育を受けている児童・生徒一億三〇〇〇万人全員が学費・雑費の免除および教科書無償給与政策を享受し、中西部地区の農村で義務教育を受けている困窮家庭の寄宿生約一二二八万人が生活費補助を受給した。都市部では義務教育段階の二九〇〇余万人に上る児童・生徒の学費・雑費を免除した。また、義務教育が手薄な農村学校の改善計画を実施し、農村義務教育に関わる債務の全面的な整理と解消に努めた。一般高校の困窮家庭の生徒を国の援助政策の対象枠に組み入れ、大学生向け国家学資援助金の基準を引き上げた。職業教育の基礎能力整備を強化し、四四〇万人に上る中等職業学校の困窮家庭の生徒と農業専攻学生の学費を免除し、中等職業学校で国家学資援助金政策を引き続き実施するなどの取り組みに計二〇九億九〇〇万元を計上した。「九八五プロジェクト」の次期建設を始動させ、「二一一プロジェクト」や大学本科教育の質的向上及び教育改革プロジェクトなどを推進するため、計六〇六億六三〇〇万元を計上した。地方大学の改革と発展に向けた支援を強化するため、二〇〇億六七〇〇万元を計上した。

⑵ 科学技術支出は一七二八億三四〇〇万元で、予算の一〇五・八％を達成し、一四・三％伸びた。内訳は、中央レベルの支出一六六一億三〇〇〇万元、地方への移転支出六七億四〇〇万元である。国家科学技術重要特別プロジェクトの実施に三〇二億元を計上した。国家自然科学基金や「九七三計画」、国家重点実験室の整備・運営などの基礎研究支援に二四四億三九〇〇万元を計上した。先端技術研究、社会公益的研究およびカギとなる、重要な汎用技術の研究開発など応用研究強化に九〇四億一三〇〇万元を計上した。重点産業調整振興計画の実施、企業の技術改良と自主イノベーション促進に二〇〇億元を計上した。地域的科学技術革新システムづくりを推し進め、産・学・研・応用の有機的な連携を促した。

⑶ 文化・スポーツ及びメディア関係の支出は三一六億元で、予算の一〇〇・五％を達成した。内訳は、中央レベルの支出一五〇億一三〇〇万元、地方への移転支出一六五億八七〇〇万元である。これにより郷鎮総合文化ステーションや農家図書室、農村での映画上映など重点文化利民プロジェクトの実施を強化し、農村の文化生活を豊かにし、末端部における公共文化・スポーツ施設の条件改善に努めた。一般に無料開放された公共博物館、記念館は全国で一七四三ヵ所に達した。最重要遺跡、重点文化財及び無形文化財保護事業は引き続き強化されている。またマスメディアの発信能力の整備を強化し、文化体制の改革の深化を促し、文化産業の発展を推し進めた。

⑷ 医療衛生支出は一四八五億三五〇〇万元で、予算の一〇六・九％を達成し、一六・七％伸びた。内訳は、中央レベルの支出七三億五六〇〇万元、地方への移転支出一四一一億七九〇〇万元である。中央財政は五六〇億元の補助金を計上することにより、新しいタイプの農村合作医療の加入者数は八億三五〇〇万人、都市部住民基本医療保険の加入者数は一億九五〇〇万人に上り、財政補助金の基準額は一人当たり一二〇元に引き上げられた。閉鎖または破産した国有企業の定年退職者と経営難に陥っている企業の従業員の中で、都市部職員・労働者基本医療保険未加入者の保険加入を支援するために、六三億元の補助金を振り向けた。都市・農村の医療救済水準をさらに向上させるため九四億元の補助金を拠出した。二二五億元を計上して、末端部の医療衛生サービス・システム整備を強化した。末端部における六〇％の政府系医療衛生機構で国の基本医薬品制度を実施し、体制と仕組みの総合的改革に取り組んだ。都市・農村住民に九種類の公衆衛生基本サービスを無償提供する事業を支援し、重要な公衆衛生サービスプロジェクトを実施するため、二九五億六九〇〇万元の補助金を計上した。公立病院の改革テストを始動させた。